内容説明
戯曲の上演を禁じられても、小説を発表する機会を奪われても、作家は書き続ける。権力に圧殺される芸術家のシンボルとなり、死後も圧倒的支持を受けつづけた作家ブルガーコフの、諷刺的世界から最期の長編『巨匠とマルガリータ』までをたどる。
目次
1章 わが将来の伝記作家に―初期の伝記的作品
2章 諷刺は後悔を許さない―二〇年代の中編と短編
3章 若いうちから名は惜しめ―『白衛軍』
4章 舞台の上で思考する―ブルガーコフの劇場
5章 主題の選択―『ゾイカのアパート』『赤紫島』『モリエール』
6章 異分子的人物―『アダムとイヴ』『イワン・ワシーリエヴィチ』『バトゥーム』
7章 奇妙な交響曲―ブルガーコフと音楽
8章 ディオニュソスの祭壇との訣別―『モリエール氏の生涯』『劇場』
9章 鎮魂曲―『巨匠とマルガリータ』
著者等紹介
サハロフ,フセヴォロド[サハロフ,フセヴォロド][Сахаров,Всеволод]
ロシアの文学研究者。1946年、モスクワ生まれ。モスクワ国立大学、文学大学を経て、「啓蒙」出版社の編集者を勤めた。1980年には若手批評家を対象にしたゴーリキイ賞を受賞。現在、ゴーリキイ世界文学研究所の主席研究員。ロシアの古典文学から現代文学まで幅広く論じ、主な著書に『ロシア・ロマン主義読本』、最近作に『石工と文学』がある
川崎浹[カワサキトオル]
専門はロシア文学。2001年3月まで早稲田大学教育学部教授
久保木茂人[クボキシゲト]
専門はロシア文学(ブルガーコフ研究)。早稲田大学文学部、同大学院を経て、早稲田大学、明治大学などで講師を勤めた。1996年没。享年43歳
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