目次
第1部 経済と制度(近代日本の国有林野経営の展開と私権的利用の意義―秋田営林局管内の町村を事例にして;公正な自然資源の開発と戦前日本の工業化―河川の電源開発の事例を中心に ほか)
第2部 政治と外交(昭和戦前期の官僚人事システムにおける「公正」―内務省土木系技術官僚を中心に;近代日本外交における公正―第一次世界大戦前後の転換を中心に ほか)
第3部 地域と民衆(「医は仁術」のゆくえ―一九世紀東京の医師と施療;明治期における監獄の経済史的位置づけ―監獄作業の実態と公正性をめ諸問題 ほか)
第4部 思想と学説(福澤諭吉の徴兵論・再考;穂積八束と岡村司―自由の重さの耐え難さ ほか)
著者等紹介
佐藤健太郎[サトウケンタロウ]
千葉大学大学院社会科学研究院准教授。1976年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)
荻山正浩[オギヤママサヒロ]
千葉大学大学院社会科学研究院教授。1969年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)
山口道弘[ヤマグチミチヒロ]
千葉大学大学院社会科学研究院准教授。1979年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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politics
2
公正を軸にして近代日本を考察した論文集。経済・政治・外交・思想と多岐に亘るテーマが収められており大変勉強になった。私個人としては、池田論文、冨江論文、山口論文が興味深かった。池田論文は医療に関する論文で、昨今の状況を思い受けべながら読み進めた。冨江・山口両論文は法学者・法制史学者に関する内容で、学説史等を絡めながら論じられており大変勉強になった。2020/05/14
秋津
2
「公正」をテーマとして、歴史学の観点から公正研究に資することを目的とする論集。行政と地域社会の自然資源の管理・活用、行政機関内部の人事システム、近代日本が相対した国際関係・国際秩序から、教育、医療、思想に至るまで、(本書においては「マクロ水準の公正について語る事例(素材)を、……提供する」(序)とあるが)大小様々な視点から捉えた公正の事例・その背後にあるものについて多角的に考察されている。特に「格差」といった言葉をよく耳にするようになった今日において、時宜にかない、また学ぶことの多い良書であると感じた。2019/10/24
ただの人間
0
「公正」、「近代日本」という共通テーマを持ちつつも、かなりゆるやかな共通性にとどまり執筆者ごとにかなり異なる視点、方法から執筆されている。産業発展のための開発をめぐる事情や教科書検定、岩手矢作事件など、題材も幅広く興味深く読み進めることができた2020/07/31