もういちど村上春樹にご用心

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784903951379
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「これは村上春樹さんへのファンレターです。」
『1Q84』やエルサレム・スピーチをウチダ先生はどう読んだのか?
ハルキ文学の読み方がもういちど変わる!

本書は2007年に刊行した『村上春樹にご用心』を、『1Q84』論やエルサレム・スピーチ論、柴田元幸との対談など新たなテキストを加えてアップデートした改訂新版です。



●目次
新版の読者のみなさんへ
はじめに──村上春樹の太古的な物語性について

1 初心者のための村上春樹の「ここが読みどころ」
 1 ご飯を作るシーンと掃除をするシーン
 2 トラウマとその「総括」
 3 海外生活
 4 「学生運動」について
 5 世界に構造を与える力
 6 セックス・シーン
 7 司馬遼太郎と村上春樹の「フェアネス」

2 『1Q84』とエルサレム・スピーチを読む
壁と卵──エルサレム・スピーチを読む
1Q84読書中
「父」からの離脱の方位
「子ども」に今できること──『1Q84』BOOK3評
困ったときの老師頼み

3 村上春樹の世界性
「ノーベル賞受賞祝賀予定稿」2009年ヴァージョン
村上春樹と司馬遼太郎
「父」の不在
霊的な配電盤について
『冬のソナタ』と『羊をめぐる冒険』の説話論的構造
食欲をそそる批評
激しく欠けているものについて

【特別対談】柴田元幸×内田樹『村上春樹はからだで読む』

4 翻訳家・村上春樹の翻訳を語る
  「翻訳=写経」論
  村上春樹の翻訳作法
  村上文学が世界性を獲得した理由
  奇跡のタッグ
  趣味は翻訳
すぐれた物語は身体に効く
『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読む
「君」とはホールデン自身である
極東のアヴァター~『羊をめぐる冒険』と『ロング・グッドバイ』

5 うなぎと倍音
うなぎくん、小説を救う
太宰治と村上春樹
倍音的エクリチュール
100パーセントの女の子とウェーバー的直感について

6 雪かきくん、世界を救う
村上春樹の「労働哲学」
村上文学における「朝ご飯」の物語論的機能
お掃除するキャッチャー
After dark till dawn
村上春樹とハードボイルド・イーヴル・ランド

[コラム]
「手持ちの資源でやりくりする」こと~『走ることについて語るときに僕の語ること』評
三〇~四〇代の女性に薦める一作『神の子どもたちはみな踊る』
『ペット・サウンズ』の思い出
アーバンとピンボールの話

旧版のあとがき
新版のあとがき

●関連情報(書評/イヴェントほか)
もういちど村上春樹にご用心

内容説明

『1Q84』やエルサレム・スピーチをウチダ先生はどう読んだのか?ハルキ文学の読み方がもういちど変わる!新たなテクストとともに『村上春樹にご用心』をアップデート。

目次

はじめに 村上春樹の太古的な物語性について
1 初心者のための村上春樹の「ここが読みどころ」
2 『1Q84』とエルサレム・スピーチを読む
3 村上春樹の世界性
特別対談 柴田元幸×内田樹『村上春樹はからだで読む』
4 翻訳家・村上春樹
5 うなぎと倍音
6 雪かきくん、世界を救う

著者等紹介

内田樹[ウチダタツル]
1950年東京生まれ、東京大学文学部仏文科卒。神戸女学院大学文学部教授。専門はフランス現代思想。ブログを拠点に武道(合気道六段)、教育、アメリカ、ユダヤ、メディアなどさまざまなテーマを縦横無尽に論じて多くの読者を得ている。『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第六回小林秀雄賞受賞、『日本辺境論』(新潮新書)で第三回新書大賞を受賞。2010年7月より大阪市特別顧問に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

98
作者は哲学者で翻訳家で村上春樹の大ファン。村上作品の根底にあるものを彼の知性を駆使して語る。これを読むと、村上の作品についてわかった気になる。彼の作品を読んでいることを前提として。「邪悪なものをめぐる神話」、「青年の成長譚」 「血族と因果の物語」。世の中には「父権的」なものがあるが、それがなかったら人はどのようにして生きるのか、君はそれでもいいかい?との問い。そして弱い一人のボクがその父権的力に戦いを挑む、それは狭いエリアの戦いで終わる、ささやかだが大切な仕事。それを念頭に置いてまた読み直すとするか。2015/04/25

との

29
前半は仕事が忙しい時に読んだからかあまり残っていないけど、後半はとても興味深く読めました。どうして村上春樹に惹かれるのか、自分でもよくわからない部分を、内田樹が交通整理してくれた気がする。◇村上文学における労働哲学と、朝ごはんの機能性が特に面白かった。世界には不条理な「邪悪なもの」があって、でも一人一人の雪かき仕事のような無名の、ささやかな献身の総和として、世界は辛うじて成り立っている。そんな雪かき的な仕事が、世界の善を少しだけ積み増しする。村上春樹の誠実さが垣間見えます。さて私は、どちらの人間だろうか。2016/11/07

Gatsby

15
改訂版だと知っていながら購入。もちろん、前の本でも読んでいる内容が多かったのだが、そのことも確認しつつ楽しく読むことができた。やはり、優れた読み手によって、小説は新たな光を与えられるのだと実感した。柴田元幸先生との対談にあったのだが、内田先生が離婚して精神的にまいっていた時期に村上春樹を読んで評価するようになったとのこと。実は私も失恋した時に村上春樹をむさぼるように読んだことを思い出した。The Great Gatsbyを原書で読んだのも同時期だったな。2010/12/01

Bartleby

13
村上春樹を読むとなぜ無性に料理や掃除がしたくなるのか。これを読んでその理由がわかったのと同時に自分の中の「雪かき仕事」の意味が大きく変わった気がした。際限もなく、称賛もない仕事だけれどもそれが世界の秩序を維持するのに少しだけ貢献している。そしてふいに訪れる「理由もない悪意・邪悪なもの」が自分や自分の大切なものを脅かすとき、身の周りだけでも小さな秩序を作っていくいけるかどうかが生命線になる。村上春樹をどう読むかだけに限定されない、自分たちが生きるうえでの大切なことを教えてもらえた本でした。2012/01/26

fishdeleuze

11
『村上春樹にご用心』にエルサレム・スピーチ,いくつかの小論,柴田元幸との対談などを新たに収録し編纂された本(別のベストアルバムみたいなもんですとのこと)。新たに収録された小論のうち『1Q84』についての論考において,村上は今回初めて「父」なるものについて言及していると述べている。「父」なるものとは?「父の呪縛」とは?天吾らの反リトルピープルモーメントが「父」(=NHK, さきがけ,証人会)の世界の根源的未規定性あるいは本質的無意味性を暴いてしまったあと「子ども」達はどう生きていけばいいのか?→2012/08/25

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