内容説明
十六歳の少年が初めて愛した年上の女性の恋の相手は少年の父だった―多くの人の心を揺さぶってきたツルゲーネフの小説『初恋』は、つらく切ないだけの恋物語なのか。これまで何度も翻訳されてきたが、『初恋』には見落とされ誤解されてきた多くのミステリアスな場面がある。これらの謎を究明しなければ本当の『初恋』を理解することはできない。作家が愛した小説に織り込まれた繊細な感情の綾を丹念にたどり、『初恋』の真のクライマックスを読み解く。
目次
謎に満ちた小説『初恋』
ジナイーダが鞭打たれる場面の謎
ザセーキン家の秘密
ジナイーダと父ピョートル
父ピョートルに挑む息子ウラジーミル
なぜ『初恋』はツルゲーネフが最も愛する作品になったのか?
密かな愛の贈り物―フランス語訳『初恋』
補遺(母ワルワーラ・ペトローヴナの妊娠事件について;父セルゲイ・ニコラーエヴィチの人物像および交遊関係について)
著者等紹介
角伸明[カクノブアキ]
1956年、大分県生まれ。大阪外国語大学卒、早稲田大学大学院修了。現在、関西大学、同志社大学等の非常勤講師。ロシア文学及びシャガール専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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