内容説明
「装丁は本の包装ではなく皮膚だ」「読者と最前線で顔を合わせる書店員たち」ほか。どうしても「編集者」になるたくなる本。
目次
編集者の仕事(体験的編集者論―東京オリンピック開会式の前夜;編集者の仕事―編集者と作家の距離は、遠くて近いのか、それとも近くて遠いのか;直木賞と本屋大賞―文学賞の楽屋;さし絵画家と小説家との一途な暗闘 ほか)
編集者の世界がわかる本を読む(『築地魚河岸猫の手修業』福地享子;『文壇』野坂昭如;『「漫画少年」物語―編集者・加藤謙一伝』加藤丈夫;『鎌倉編集日記―末座の幸福』伊藤玄二郎 ほか)
著者等紹介
重金敦之[シゲカネアツユキ]
1939年東京生まれ。慶応大学卒業後、朝日新聞社入社。「週刊朝日」編集部在籍時に池波正太郎、松本清張、結城昌治、渡辺淳一など多くの作家を担当した。大学教授を経て、文芸ジャーナリスト。食の分野にも造詣が深く、料理に携わる人たちからの信頼も厚い。「食彩の文学事典」を「小説現代」に連載中。日本文藝家協会、日本ペンクラブ、食生活ジャーナリストの会、各会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メガネ
1
編集者が好む食と酒について書かれているわけではありません。本書のテーマは編集者と作家の距離をどう測るか、にあります。ここに出てくる編集者というのは池波正太郎や野坂昭如、向田邦子などの作家を担当していた、いわゆる文壇といわれる世界で活躍する編集者。登場する作家は癖の強い人ばかりですが、それでも編集者としてちゃんとした理念と思想を持ち、作家と対等の立場で一冊の本を仕上げるプロフェッショナルな部分を感じました。編集者は野球で言えばキャッチャーというよりもグラウンド整備員、という言葉が印象的でした。2014/06/03
りん
1
「暗い海を後悔する船乗りにもたとえられる物書きたちにとって、編集者はそれぞれの航海をかすかに照らす探照燈のような存在である」。これはノンフィクション作家の佐野眞一氏の言葉だが、はじめは何を大げさなと思っていた。だが本書を読み、かつての編集者と作家の関係性とは今よりずっと密なものだったのだと知りました。2011/07/10
nizimasu
1
正直、作家担当の編集者とは何をしているのだろうと思う。この本では、本作りを巡る情熱とその裏にある苦労のエピソードを惜しげもなく紹介している。実際、原稿と作家の機嫌取りに終始する人も居るという。でもこの本には編集者としての矜持が詰まっていて読んでいて心が熱くなる2011/07/02