内容説明
現生人類の出アフリカ・農耕の開始・冶金術の発明・都市の形成・文字の発明・領域国家の発達・一神教の成立など、古代西アジアは人類史の大転換の舞台でありつづけた。そこで達成された大転換は、現代の私たちの生活にまで深い影響をあたえている。本書は、現代文明の基層となった古代西アジア文明を解明し、その現代的意味を問う。
目次
西アジア文明学の提唱
第1部 文明の舞台西アジア(西アジアの自然環境;西アジアの植生;西アジアの大地形と地質;地震の基礎知識と西アジアの地震活動;化学の目で読み解く古環境)
第2部 文明の礎―先史時代の西アジア(西アジアの石器時代―農耕・牧畜と社会の関係;農耕の始まりを出土植物から調査する;西アジアの動物利用;化学の目で読み解く土器・石器)
第3部 西アジア文明の形成(都市文明へ;古代西アジアの言語と文字;古代西アジアの歴史と文書史料;楔形文字文書と古代西アジアの社会・文化)
第4部 西アジア文明と現代(西アジアの文化遺産をまもる;西アジア考古学の実践と現代社会―ヘゲモニー、ナショナリズム、アイデンティティ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
1
西アジア文明学提唱 西アジアの特徴ー多様な自然・文化・社会 水資源と環境変動ー水源の変化や洪水伝説 植生ー西アジアの植物区系と日本との違い 動物利用ー家畜化の過程や人間生活への影響 農耕と牧畜ー人類の生活様式根本的に変化 文字と社会システムー文字の発明→社会構造や経済に貢献 宗教の多様性ー古代西アジアの宗教の役割 文化的影響ー西欧文明やイスラム文明への影響 相互理解深化ーイスラム社会などの理解に寄与 偏見の克服ー西アジアへの誤解を解消→正しい理解促進 西アジア文明ー人類の発展を理解する上で不可欠な研究分野2025/02/01
トリタニ
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筑波大学の教授陣を中心とした共著の研究書。古代メソポタミアの自然環境から歴史学・考古学まで、多岐にわたる分野を扱っている。専門的な話が展開されている面もあるが、概説的な内容やコラムも含まれているので、”西アジア文明学への招待”の体を為してはいると思う。個人的には、「西アジア考古学とナショナリズム」の項目が興味深かった。2014/12/20