内容説明
世界史を誘引しつづける金融資本の正体とは?世界10カ国固有の社会背景および実体経済とのかかわりを軸に、自己運動・肥大化をつづけてきた金融の歴史をひもとき、人びとを魅惑しつづけるその営みの世界史における意味を見透かす。
目次
中世から近世へ―国際金融の始まり
イギリス
フランス
ドイツ
帝政ロシア
アメリカ合衆国
アルゼンチン
インド
中国
日本
世界大恐慌と国際通貨制度
現代国際金融の諸相
開発経済とグラミンバンク
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
9
表紙の絵は意味深で松尾健氏作。章末に読書案内、デザインも頁毎に格調高い感じのもので他著にない工夫が好印象。内容は、主要国の金融の歴史が章毎に書かれている。金本位制は通貨単位が一定重量の金と結びついた制度(30頁)。フランスの農業信用金庫は1856年のナポレオン3世の信用会社に遡及(86頁)。アメリカの1920年代の株式ブームは昨今の日本株価↑のムードへの教訓になるかどうか(208頁)。中国の地方金融機関は銭荘(301頁~)。グラミン銀行の解説もあり、昨今では悪用されるケースもあると聞くので少し不安がある。2013/04/09
メルセ・ひすい
3
★5 分りやすい。金本位制の成立がネック。 中世から近世 イギリス フランス ドイツ 帝政ロシア アメリカ合衆国 アルゼンチン インド 中国 日本 世界大恐慌と国際通貨制度 現代国際金融諸相 世界史を誘引する資本主義の正体とは。世界10カ国固有の社会背景、実体経済との関わりを軸に自己運動・肥大化を続けてきた金融の歴史をひもとき、人々を魅了し続けるその営みの世界史における意味を見透かす。2013/01/12
たこ焼き
2
過去を分析することは情報を見つけることに苦労するかもしれないが、ある意味簡単である。成功したケースの良い面をさがし、失敗したケースの悪い面を探せば良いからである。一方で未来を予測することはより知能が必要である。現状を分析する際にその現状が成功に繋がるか、失敗に繋がるかを自らの勘(応用的思考)と知識(基礎的思考)を通じて予測しなければならないからである。政府はいかに自国の通貨が価値があり、信用に足る物であるかということをシステム設計を通して国民に納得させるという仕事を負っている。ハイリスクなものをリスク分散2016/06/25
koji
2
途中で放棄しましたが、グローバリズムに翻弄される現代金融業の前史を知ることはかなり有益です。私は、本書の中で、イギリスの金本位制の歴史、フランスにおける①サンシモン主義に名指したクレディモビリエの実験、②地方銀行の産業融資、③中期信用供与の枠組み等安定を突き抜けて成長を志向する企て、ドイツにおける大銀行を中軸とする強固な連携企業集団の構築、アメリカにおける成長通貨と健全通貨のバランス、帝政ロシアにおける卓越した銀行家が印象に残りました。少し難しい本ですが、金融に関心のある人にガイドブックとしてお勧めします2013/07/07
ヴィクトリー
2
世界各国(英、仏、独、露、米、アルゼンチン、印、中、日)の金融史と、世界恐慌以降の世界金融をさらっと紹介した本。各国それぞれの事情により金融の発達に個性があるのが面白い。しかしながら、それぞれ著者が異なるので記述に若干差があるのと、全体的な比較・考察が欲しかった気がするのが残念な所か。まぁ、後者に関しては読者が考えればすむことかもしれないが。なんにしても金融はよく分かっていないので、第二次大戦後ぐらいの話になってくると複雑で理解が追付かなかった。一つ一つ図解があれば、とも思うがそれは別の本に求めるべきか。2012/11/08
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