内容説明
幸福はどこにある?溢れる言葉や情報の渦の中で、いったい私たちは何を求めて生きればよいのか?「真の○○」があるという幻想に囚われた現代ニッポンの閉塞状況を仲正昌樹が解体する!“孤独”であることを怖れないための入門書。
目次
1 「格差社会」幻想
2 「モテ/非モテ」幻想
3 「人間力」幻想
4 「友達」幻想
5 メイド喫茶探訪
6 “リア充”幻想からの脱出
著者等紹介
仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年広島生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。現在、金沢大学法学類教授。専攻は、政治思想史、比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
30
軽快な語り口でよどみなく論理が展開していくが、その語られる中身は単なる時事評論にとどまらずぼく自身の「生きづらさ」までもえぐるものであり唸らされる。そして、「いま」この本と対峙して思うのは、収められている「真実があるということの思い込み」からいかに解放されるかという問題意識にはもちろんいまなおある程度有効性があるのだけれど、同時に「すべてがフェイクだ」と居直ってしまう幼児的な自閉・自己中心主義に染まってしまう陥穽をも避けたく思ったということだ。原理主義にもシニシズムにも染まらない第三の道がありうるのかも?2024/04/27
サイバーパンツ
17
タイトルでサブカル批評かと思ったら、社会評論だった。加藤智大の話から始め、彼を新自由主義や貧困の犠牲にしたがるロスジェネ論壇をいなしながら、オタクの話にシフトしていくところで、幻想批判が始まる。モテ、人間力、リア充など定量化された幸福は、所詮メディアの作り出した幻想に過ぎないのだから、気にするだけ無駄、というのが著者の主張であるため、コミュニケーションの努力にも当然ながら否定的。そのため、パフォーマンス=キャラ戦略にも批判的で、東浩紀や宮台真司とは真逆のスタンスをとることになっている。2017/03/09
阿呆った(旧・ことうら)
9
リア充幻想に苛まれて余計に悩み込むくらいなら、無理にコミュニケーションの努力などしなくていいと書かれていました。〈外〉から見える他人は、『胡蝶の夢』と同じということでしょうか。2015/07/20
大道寺
7
新書でこのタイトル、内容だったら、軽く読んで「うんうん、そうだね」で済んだのだが、1800円でこれは……高いですね。「格差社会」「モテ/非モテ」「人間力」「友達」「リア充」といった幻想について仲正昌樹がインタビューに答えて語る。私にとってはわざわざ他人が書いた本を読むまでもない内容だったかな。最後の『現在の私は、「安定した人間関係を築くことなどできなくても、とにかく生活していくことさえできたら、それでいい」という心境になっている。「孤独」に対して開き直って、何が悪いのか。』は同感。2011/05/06
futabakouji2
5
真実があるということの思い込みというテーマを秋葉原通り魔殺人事件を中心に考える本。まず、この本は最後の章で答えを言っているので、最初に読んだ方がいい。 暗黙の中に成立しているルールを共有していると幻想で人間関係のほとんどは成り立っている。外から見たしっかりしてそうな考えもなかに入ると結構違う。私の場合だが、地元の有名な高校に通っている生徒はみんな真面目に勉強していると思ったら、先生のことに文句を言ったりする普通な人で驚いたことがある。みんな同じであるなんて違うよとこの本は書いてあるのでとても共感した。2019/03/31
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