目次
第1章 これまでの“民藝”(四つの“民藝”;“民藝”が生まれるまで1 柳宗悦と文芸誌『白樺』;“民藝”が生まれるまで2 美術・工藝美術・工藝のヒエラルキー;「民衆的工藝」=“民藝”の誕生;記号化してしまった“民藝”のマイナス面)
第2章 同時代の“民藝”(ロングライフデザイン、アノニマスデザイン;スーパーノーマル、業務用品、中古品、骨董品;60年代の日本のものづくり、地場産業、クラフト、作家もの)
第3章 これからの“民藝”
“民藝”を掘り下げる、ブックリスト20
著者等紹介
高木崇雄[タカキタカオ]
工芸店店主。1974年、高知生れ、福岡育ち。京都大学経済学部卒業。会社員生活を経て、2004年、福岡市内に工芸店「工藝風向」開店。九州大学大学院芸術工学府にて、柳宗悦と民藝運動を対象に近代工芸史を研究、博士課程単位取得退学。日本民藝協会常任理事。新潮社「青花の会」編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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FOTD
22
学生時代から民藝というものがなんとなく好きだった。最近の「民藝の100年展」「東北へのまなざし展」を見てからは、自分の中に「民藝とは何か」という問いが生まれてきていた。矛盾だらけと言われる民藝、簡潔に説明できる言葉が見つからない民藝、、、。良いタイミングでこの本に出会えたが、わかりづらい文も少なくなく私には「わかりやすい民藝」ではなかった。私にはもっと知識や時間が必要だと感じた。この著者が民藝大好きなのが伝わってきて、それは本当に嬉しかった。工芸店の店主でもあるようなので、いつか会いに行ってみたい。2022/08/31
Tenouji
20
柳宗悦「民藝」の本質が解説してあり読んでみた。ある種の社会合理性に抗うような活動が日本でもあったんだよね。ただ「違いがわかる男」の解説にありがちな、言葉にするほど、目標から離れてしまう、あたりがソフトウェア開発でいうところの「アジャイル宣言」みたいだ。な、と感じていたら、著者もプログラミングは手仕事に近いのでは、との考察もあり、面白く読めました。2021/11/22
とみお
17
「日常の暮らしの中から生まれたデザイン」に興味が湧いてきた昨今、友人が折に触れて「『民藝』という概念があるよ」と教えてくれ、本屋で見繕ってきた。結果、とてもおもしろい本に出会えた。民藝だけではなく、工芸、工芸美術やクラフトなどにも少し触れられており、細かな考え方の違いなども学ぶことができた。しかし、「民藝」の中にも宗派のようなものがあり、「民藝」について誰かと語るとき、よくよく気をつけなければならないとも思った。著者の方も地元福岡で工芸店を営んでいるとのことで、ぜひお会いしてみたいと思った。2021/02/15
島の猫
10
民藝とは考えるための物差しであって、正解ではない。シンプルだからいいのではなくて、そこには世代を超えて受け継がれた形がある。癖があっても自然と馴染むもの。無理せず手に入れられて、丁寧な生活を作るものである。自分が見て、触れて、いいと思える。そこに作者が有名か無名かは関係ない。それそのものの価値を感じる自分を養うことは大事なことだ。美を突き詰めるとライターの火しか見なくなる、というのはわかる。そうじゃない、知っているつもりのものからの再構築をし続けること。悩み続けること。それって謙虚に生きるってことだ。2023/07/14
よきし
8
民芸運動とは何か?というところをざっくりと解説するだけでなく、現代のいろいろの「民藝」的営みの周辺にいる人たちでの対談があることで、改めて民藝の意味や、その近代性や現代性といったものが見えてきたように思う。ともかくいろいろ刺激をいただいた一冊だった。2022/03/28