内容説明
イエスの説いた非暴力・無抵抗の平和主義は、古代キリスト教史において貫徹されたのか。教父たちの原テキストの厳密な読みを通して、この問題解明に迫った著者渾身の学問的労作。
目次
第1章 キリスト教公認までの信徒の兵士の実態
第2章 使徒教父たちと護教家たち
第3章 エイレナイオス、ヒッポリュトス、アレクサンドレイアのクレメンス
第4章 オリゲネス
第5章 テルトゥリアヌス
第6章 キュプリアヌス、アルノビウス、ラクタンティウス
付論 テルトゥリアヌス『兵士の冠について』(木寺廉太訳/訳註/解説)
著者等紹介
木寺廉太[キデラレンタ]
1941年東京に生まれる。1967年東京大学大学院人文科学研究科宗教学宗教史学専攻博士課程進学。1973年ストラスブール大学にて宗教学博士号取得。茨城キリスト教大学教授を経て、現在、立教大学文学部教授、教会史・教父学専攻
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感想・レビュー
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ころりん
1
著者は、新約聖書の平和主義に立脚しつつ、「研究を進めるうちに明らかになり、筆者が少なからず当惑したことは、キリスト教史の最初の3世紀間においても、厳格な平和主義の立場が明確に貫かれていたのではないことであった。」と正直です。そして、4世紀以降、教会が、ローマの軍隊、兵役を認める立場に転向しつつ、聖職者・修道士の兵役を免除、という二重基準を設けたという。でも、既に初代教会において、ローマの軍隊におんぶしつつ、自分たちだけ手を汚さない、という二重基準があったのではないか? そして、同じ事を今していないか?2014/10/30