出版社内容情報
久保田 淳[クボタ ジュン]
著・文・その他
内容説明
中世に花開いた独特の美意識による勅撰集『新古今和歌集』。その成果は空前絶後の高峰となっています。百人一首に選ばれた「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする 式子内親王」や、「幾夜われ波にしをれて貴船川袖に玉散る物思ふらむ 藤原良経」など、華麗な言葉でつむがれた名歌の宝庫です。下巻には、古典和歌の華である、恋の歌を中心に雑歌・神祇歌・釈教歌、約千首を収載。最新の成果を取り入れた決定版。
目次
巻第十一 恋歌一
巻第十二 恋歌二
巻第十三 恋歌三
巻第十四 恋歌四
巻第十五 恋歌五
巻第十六 雑歌上
巻第十七 雑歌中
巻第十八 雑歌下
巻第十九 神祇歌
巻第二十 釈教歌
著者等紹介
久保田淳[クボタジュン]
1933年東京生まれ。東京大学卒業、同大学院博士課程修了。文学博士。東京大学名誉教授。専門は中世文学・日本文学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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内藤銀ねず
11
文庫版新古今集として最高峰の本書ながら、その反面コンパクトにしすぎて収まらなかった内容に、新古今歌人群の人間ドラマがあります。本編では作者名が付いた歌が並んでるだけですが、作者同士の関係や歌の並びがどうしてこんな風になっているのかとか、書かれていないことはまだまだたくさんあります。新古今集を編むにあたって行われた歌合などのイベント、和歌所という国家機関での編集作業の日々。完成前に亡くなってしまった人々への想いなど、そういう濃い出来事も併せて新古今和歌集なのだと、わたしは思います。一生懸けて読んでいきたい。
双海(ふたみ)
9
ある意味、読み終わることのない本だ。理解度は2%くらいか…笑2023/12/12
chisarunn
9
こういう本を「読み終えた」というのはどうなったら「読み終えた」といってもいいのかなあ。「全部目を通した」ならとっくの昔に読み終えているわけだし。でもちっとも読み終えた気はしない。今だって何かあるたびに(定家とか西行とか実朝とか関連本を読むたびに)開いて該当場所を読むわけだし。でも「読んでる本」にずっと置いとくのも、と思ったので読み終えたことにしました。この巻で一番好きなのはこれ。「いそのかみ古りにし人を尋ぬれば荒れたる宿にすみれ摘みけり」(能因法師)2022/07/17
tyfk
6
本歌が記されているのが良い。レイアウトも見やすい。2024/01/29
そーだ
1
A-250-2 下巻は注釈も丁寧に読んだので時間が掛かった。部立は恋(一~五)、雑(上中下)、神祇、釈教。恋は配列が『古今集』に比べて雑然とした印象だった。また、当代歌人の歌は題詠が多い。雑、神祇、釈教は入集数ツートップの西行・慈円が出家してるだけあってこの二人の歌が多かった。一方、二人の歌風を尊重していたはずの後鳥羽院は入数が少ない。神祇、釈教はともかく、雑には一首しかない。こんなところに後鳥羽院の勝ち気な性格が表れているように思った。配列や部立、序についての解説がないことが不満。2014/03/23