内容説明
ダメ編集者、エドウィンのもとへチベットの山で悟りを開いた男から原稿が届く。内容は全ての悩みから人々を解放し、必ず幸せになれるという究極の自己啓発。やがて読んだ人々から「不幸」は消え「幸福」だけの世界となり消費社会は破滅への一途を辿り始めるが…。
著者等紹介
ファーガソン,ウィル[ファーガソン,ウィル][Ferguson,Will]
主な著書に、批評家たちにも絶賛された旅行記、Hokkaido Highway BluesやHitchhiker’s Guide to Japan、さらにはなにかと物議をかもした文化評論、Why I Hate Canadiansなどがある。ファーガソンが執筆した最初の三作品は持ちこみ原稿の山から救出され、『ハピネス』は小説としては処女作にあたる。カルガリー在住、カナディアンロッキーの麓で暮らしている
村井智之[ムライトモユキ]
1968年生まれ。ニューヨーク市立大学卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しょーめー
3
「作家の読書道2」で紹介されていた本。少しクドいけど面白かった。究極の自己啓発本で、欲のない幸せな世界になるが、それを出版した編集者が、こんな世界可怪しいんじゃないかと右往左往する話。本が売れるってどういうこと?幸せって何!と考えさせられた。幸せと不幸せは、裏表だからありがたいのに、幸せしか見えてこない世界は、どこか歪んでいると感じた。2016/08/02
hiyo07
2
どう捉えたら良いか?いささか悩むよね(笑)。ファンタジーなのか大真面目なのか、物語の論点はどこにあるのか?違った意味では笑いのツボがどこにあるのかも悩んでしまった。一冊の自己啓発本によって世界の人は『ハピネス』を手に入れる。彼らの言うハピネスとは、誰も苦しまない、悲しまない、自然と一体になって、自給自足の日々を送ること。まぁ、ヒッピーですよね(笑)。そして当然のことながら、資本主義の卑しい部分が浮き彫りになってくる。しかしシビアに考えれば、やはりその卑しい部分が無ければ、世界は回っていかないだろう?なんて2012/11/01
鈴木双葉(全日本目が死んでる団団長)
1
世に自己啓発本があふれかえっているのは、決定的効果のある本がまだ出ていないから。では、そんな本が発売され、世界が前向き善良人間ばかりになったら…!?という疑問を、コミカルに面白く読ませてくれて、笑いながら考えさせられる本。なんくせをつけるなら、文字数半分でも書けたんじゃないかと。2010/11/15
K
0
みんなが自己啓発本に啓発されて意識高い系になったらどうなるか?という話。これはユートピアなのかディストピアなのか・・・。人間はほどほど堕落してるほうがいいのかもね。2022/03/12
Darbytime
0
ボトムアップな素晴らしい新世界の話。主人公は一貫してクズだけど、それが物語の核心的な部分。健康や幸福もそうでない人や時とのコントラストの中で価値があるのだとすれば、苦悩や不幸は必要悪となるだろうか。何にしても国税庁の検査員の命が軽すぎる。2021/05/04