内容説明
中上文学を(再)開発文学の視座から捉え、ポストヒューマンをも射程に収めつつ、複数の方向に開かれた路地の「仮設」性に、脱国家・脱資本を志向する“路地のビジョン”=中上思想の核心を見出す。犀利な読解によって、中上健次のアクチュアリティを刷新する、俊英による新世代の思想‐文学論。
目次
第1章 (再)開発文学/「戦後文学」と「はじまり」―「一番はじめの出来事」
第2章 動物と私のあいだ―「熊の背中に乗って」「鴉」
第3章 性愛と争闘―「偸盗の桜」「鬼の話」
第4章 被差別の人類学、賎者の精神分析―「石橋」
第5章 (再)開発と「公共性」―「海神」
第6章 路地・在日・スーパーマーケット―「海神」「石橋」「花郎」
第7章 媒介者の使命―「葺き籠り」
第8章 生命の縁起、脱人間/人文主義―『千年の愉楽』
第9章 仮設と雑草―『地の果て 至上の時』
著者等紹介
渡邊英理[ワタナベエリ]
熊本県菊池市生れ、鹿児島県霧島市・鹿児島市育ち。東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻単位取得後満期退学。博士(学術)。現在、大阪大学大学院人文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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