内容説明
30歳、著者は偶然、山伏の世界に入った。山に登り、滝に打たれ、ホラ貝を吹く。自然の美しさにウットリする日本人の心を、昔から、ずっと大切にしてきた山伏。その姿から、現代人の「生き方」を見つめ直す。
目次
はじめての山伏修行(山伏修行諸注意!;羽黒山へ ほか)
松例祭(雪と炎のコントラスト;山伏たちの新年 ほか)
山伏のはじまりへ(漂泊の異人;自然崇拝 ほか)
秋の峰入り(成瀬くんの決意;修行はじまる ほか)
山伏から知ること(修行の無意味;ドロドロとした土臭さ ほか)
山伏と僕(山伏が変えたこと;鉄砲水さんとの出会い ほか)
おまけ 法螺の作り方
著者等紹介
坂本大三郎[サカモトダイザブロウ]
1975年千葉県生まれ。イラストレーター、山伏。2006年、山形県・羽黒にある宿坊「大聖坊」の山伏修行に参加。09年、山伏出世の行と呼ばれる「秋の峰入り修行」に参加する。以降、出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)を拠点に、古くから伝わる生活の知恵や芸能の研究実践を通して、自然と人を結ぶ活動をしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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文公
13
山伏について意外と知らないことが多かった一方で、想像していたイメージとそう変わらない部分もあった。山伏や修験道に関する書物はたくさんあるが、これは気軽に読める入門書であり、修行体験や山伏のリアルな声がわかるという点で学術書とは違った面白さがあった。ふと気になったが愛知県の旧羽黒村は山形県の羽黒山と関係があるのだろうか。2017/05/03
Humbaba
9
他の人がやらないことを成し遂げると、つい気持ちが大きくなってしまう。そして、自分の経験を吹聴したくなる。傍から見た時にはそのようなことの愚かしさがわかっているつもりでも、自分が当事者になると同じことをしてしまう。特に、その最中には他のことが見えなくなるという危険がある。2013/09/10
安国寺@灯れ松明の火
9
イラストレーターである著者の豊かな感受性と相まって、臨場感のある山伏体験記でした。この本ではないのですが、山伏修行の体験談といえば強く印象に残っている話があって(※)、その人は修行を通して「地獄」という言葉の意味を考え直すことになったといいます。どの体験が本物で、どの感想が正解ということではなく、自分以外の何か得体の知れない存在と向き合うことは、自分の存在を見つめ直す上で大きな意味があるのだろうと想像します。2012/12/27
searchlight500
8
偶然本屋で手に取り…読んでみました。 知らない世界の事…とても興味深くイッキ読みでした。2017/06/13
T2y@
8
アカデミックではなく、ルポルタージュ的に山伏修行とそのルーツを辿った一冊。さながら友達に語られているようで、とても親近感を持って読められた。アニミズム、ホカヒビト、明治政府による神仏分離、については、より知見を深めたい。2012/07/14