内容説明
馬の挙動、騎手の振る舞い、血統や体重の増減、馬場の状態…あらゆるデータを蒐集して予想するレースの展開と出走馬の着順!その光の奥に数字と札束しか見ないようでは紳士の遊びとは言えまい。傍らに馬券、視線の先でゴールを駆け抜ける馬と騎手、そのとき心に浮かぶのは長い人類の営み、個々の人間各々の業、喜び、美、文学に昇華された形而上学…。正統派ロシア文学者だからこそのディープなロシア文学への言及、日本、中国、フランス、エト・セトラ、走る馬を見ながら専門を越え、凡そ琴線に触れるあらゆる文学を想起する、前代未聞の競馬エッセイ―。
目次
「京都記念」を観戦してトルストイのトバク心得を思う
高橋成忠最後の騎乗を見て幻の名馬「ホルストメール」を思う
サンケイ大阪杯をみて『アンナ・カレーニナ』の競馬を思う
鳴尾記念をみて『スペードの女王』の賭けを思う
「桜花賞」を見終えて中央競馬会をしかる
『さつき賞』を予想してドストエーフスキイの『賭博者』を思う
チエホフの『賭け』、「NHK杯」を見て思う
ペチョーリンの賭け、オークスに敗れた馬に思う
宝塚記念をみて茂吉の『童馬漫語』を思う
中京競馬をみて「連環万馬の計」を思う〔ほか〕
著者等紹介
法橋和彦[ホッキョウカズヒコ]
1932年神戸に生まれる。大阪外国語大学から早稲田大学大学院博士課程へ。現大阪外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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