二十世紀のユダヤ思想家

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二十世紀のユダヤ思想家

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  • サイズ 46判/ページ数 412p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784895861304
  • NDC分類 316.88
  • Cコード C0010

出版社内容情報

現代の歴史の挑戦に生き抜いたユダヤ民族を指導した哲学者・思想家10人の生涯と思想を語る。
■東欧のユダヤ思想家
  編者の序文 ユダヤ民族主義の理念
 1. アハド・ハアム
 2. アーロン・ダヴィッド・ゴルドン
 3. アブラハム・イサク・クック
■ドイツのユダヤ思想家
  編者の序文 二十世紀ドイツのユダヤ思想
 4. ヘルマン・コーヘン
 5. レオ・ベック
 6. フランツ・ローゼンツヴァイク
 7. マルチン・ブーバー
■アメリカのユダヤ思想家
  編者の序文 最近のアメリカ・ユダヤ教神学の傾向
 8.カウフマン・コーラー
 9. モルデカイ・M・カプラン
 10. ジョーゼフ・ソロヴェイチク


まえがき(抄)
 ユダヤ思想の発展の中で二十世紀を特色ある時期とするいくつかの要素がある。
 その第一は、ユダヤ人の過去の研究をとおしてユダヤ人の生き方の理論的基礎づけを行なった「ユダヤ教の科学」の失敗である。1830年代に始まるレオポルド・ツンツ(1794~1886)、ソロモン・ラポポルト(1790~1867)、ハインリッヒ・グレッツ(1817~1891)、そしてモーリッツ・シュタインシュナイダー(1816~1907)といった一連の著名な学者たちは、ユダヤ教の法と教義の起源を探求した。
 新しい歴史科学の影響により、彼らは過去のユダヤ人の指導者たちの伝記を組み立て、図書目録を編纂した。そしてユダヤ教はこれら学者の研究によって救われることができると考えられた。
 しかし「ユダヤ教の科学」は、その記録保存的な探求がユダヤ教の意味の考察に優越したとき、その方向感覚を失った。
 時代の諸問題は護教論的な文学に託され、未だ適切な哲学は現れていなかった。十九世紀末になると、近代世界におけるユダヤ人の生き方の諸問題が明らかにされるためには、歴史学的な方向づけ以上のものが必要とされることが確実になった。
 第二は、1900年に、同化がユダヤ人問題の解決に失敗したことが明らかとなった。ロシア・ユダヤ人の知的地平の拡大が政治的・社会的諸権利をもたらすと信じたハスカラーの幻想は、1881年のポグロムによって打ち砕かれた。(ポグロムの際に、ロシア人知識層もまたユダヤ人を攻撃する農民や警察と提携した)。その結果としての多くの疎外されたユダヤ人の幻滅とユダヤ的生活への回帰は、ユダヤ教の伝統の新しい解釈の必要を強調させるに至った。
 また、1880年代のドイツと1890年代のフランスにおける人種主義や反セム主義の台頭は、多くのユダヤ人をしてユダヤ人であることの意味の探求に駆り立てた。
 次第に西欧のユダヤ人は、政治的権利は重要なものではあるがユダヤ民族の基本的目標としては充分なものでないことを認識した。政治的権利は、ユダヤ教に精神的内容を与えもしなければ、非ユダヤ世界におけるユダヤ人のアイデンティティーの問題をなんら解決するものでもなかった。
 最も重要なことは、ユダヤ史上最初のシオニスト会議である1897年の劇的な集会へと発展した1880年代におけるユダヤ民族主義の高揚であった。しかしシオニズム運動は多くの反対に打ち勝たねばならなかった。
 特に西欧において、シオニズム運動はユダヤ的生活への転機と見なされた。ユダヤ民族主義は、二十世紀のユダヤ人の生き方を完全に支配したわけではないが、多くの活動は直接的であれ間接的であれ、この理念に関係していた。
 新しい関心分野が、二十世紀のユダヤ思想においてますます重要なものとなった。十九世紀の90年代から、多くの思想家がこれらの分野でそれぞれの見解を発表しはじめた。
 ロシアにおいては、世俗的・宗教的なものを含め、ユダヤ民族主義の理論がユダヤ人コミュニティの思想を支配した。ユダヤ思想家たちは特にシオニズムの目的、言語の問題、宗教的役割、ディアスポラ(離散ユダヤ人)に対するパレスチナの関係に関心をもつ。
 ドイツにおいては、ユダヤ教神学の再認識がヘーゲル哲学の枠組みを脱却しはじめた。アメリカにおいては、近代に出現した新しい宗教運動--改革派・保守派、特に最近においては「近代的」正統派(十九世紀ドイツの「ユダヤ教の科学」以降の正統派)の理念の解釈--の理論的基礎を形成していた。
 本書の目的は、これら二十世紀の思想家たちのうち十名にしぼって、ユダヤ教の基本的問題に関する見解を提示することにある。
 我々の知る限り、これらを一つにまとめた学問的かつ一般啓蒙風の書物は未だ書かれていない。なお、ソロヴェイチクに関する論文は英語でははじめての体系的な紹介である。
 本書はまず、ユダヤ民族主義の哲学者として東欧の三名を取り扱う。
 アハド・ハアム--ユダヤ教の新解釈と精神的シオニズムの理論は、同時代に大きな影響を与えた。アーロン・ダヴィッド・ゴルドン--パレスチナにおける近代的労働運動の哲学者で、今日のイスラエル指導者たちに大きな影響を与えた。アブラハム・クック--パレスチナの主席ラビで、近代の神秘的な正統派の指導者。
 次にドイツにおけるユダヤ教神学の再建につとめた顕著な四名のユダヤ思想家を取り扱う。ヘルマン・コーヘン--哲学界におけるマールブルク学派の創始者で、二十世紀の最初の二十年、ドイツ・ユダヤ人の知的スポークスマンだった。
 レオ・ベック--ナチ時代におけるドイツ・ユダヤ人の精神的指導者。フランツ・ローゼンツヴァイク--近代の聖者であり、ユダヤ教実存主義の哲学者。マルチン・ブーバー--ヘルマン・コーヘンなきあとの西欧における知的指導者で、ハシディズム思想の解釈者。
 最後に三名のアメリカ人を取り扱う。カウフマン・コーラー--ヒブリュー・ユニオン・カレッジの学長で改革派ユダヤ教の哲学者。モルデカイ・カプラン--ユダヤ神学校の教授で、再建主義者運動の創始者。ジョーゼフ・ソロヴェイチク--ラビの権威で、生活方法としてのハラハーの解釈者。
 確かに二十世紀の偉大な思想家たちは、ユダヤ人の生活と思想に関する多様な見解を提言しているが、それは単に気質や背景や個人的信念によるものではなく、急速に変化する二十世紀という時代的性格によるものであった。
 最初の十年は比較的平穏であり、楽観主義・信頼・身体の安全によって特徴づけられた。これらの時期には激しい革命や独裁の残忍さは想像できず、世界中への民主主義の波及は必然的なものに思われた。その後、第一次世界大戦の悲劇、全体主義の台頭によって、両大戦間のはかない楽観主義の時期はドイツにおける人種主義の出現とヒトラー時代のホロコーストによって一蹴された。ユダヤ人にとって、六百万ユダヤ人の絶滅はイスラエル国の再生をもたらした。一般に第二次世界大戦後の時期は、二十世紀初期にみられた楽観主義の片鱗だにとどめない「不安の時代」として記述されている。
 これらの荒れ狂った時期に、哲学の風土も変化していった。十九世紀の思潮としての理性主義は、次第に知性以上のものを強調する哲学にとって代わった。二十世紀後半には増大する実存主義思想の衝撃がみられた。b  本書で取り扱った思想家は、この世紀の種々な事件や変化する精神的状況を反映しているが、ユダヤ教の伝統の諸相の解釈や、同時代の基本的問題への対応においては異なっていた。
 彼らは、その哲学的な背景や観点においては多種多様であるが、ユダヤ教の独自性とユダヤ人の生存の意味を希求する点においては一致していた。そしていずれも、ユダヤ教の伝統の源泉である聖書、タルムードおよび中世哲学に通暁し、その多くは近代ユダヤ人の学問や歴史をも熟知していた。彼らはまた、ユダヤ教が真空の中では存在し得ず、近代文明の視野の中で理解されねばならないことを認識していた二十世紀の子であった。かつてヘレニズム時代の挑戦にフィロンが対応し、アラブ時代の挑戦にサアディアやマイモニデスが対応したように、近代の挑戦に対応せねばならないことを彼らは理解していた。
 したがって、本書で取り扱っている人々に精通することは、ユダヤ的な生の哲学を探究している人々や、現代の知的混乱や挑戦に対しなんらかの答えを見出そうとする人々に役立つであろう。おそらく読者の中には、深刻な個人的問題の解決の手掛かりを発見する人もあるであろう。あるいはまた、近代のユダヤ人が遭遇した神学的問題やコミュニティの問題を明らかにすることも可能であろう。本書は、二十世紀ユダヤ思想の体系的研究のための序章でもある。

内容説明

現代の歴史の挑戦に生きぬいたユダヤ民族を指導した哲学者・思想家10人の生涯と思想を語る。

目次

1 東欧のユダヤ思想家(アハド・ハアム;アーロン・ダヴィッド・ゴルドン;アブラハム・イサク・クック)
2 ドイツのユダヤ思想家(ヘルマン・コーヘン;レオ・ベック;フランツ・ローゼンツヴァイク;マルチン・ブーバー)
3 アメリカのユダヤ思想家(カウフマン・コーラー;モルデカイ・M カプラン;ジョーゼフ・ソロヴェイチク)

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