内容説明
「本の探偵――何でも見つけます」という奇妙な広告を掲げる神保町の古書店主・須藤康平。半世紀近く誰も見たことがないという稀覯本を手に入れたと豪語するコレクター――果たして入手した本は本物なのか。幻の本を巡る騒動を描く「殺意の収集」、幼少期の愛読書を捜す女、古書店に戦前の本を売りに来る若い男、憑かれたように書物を集める老人の三者を結ぶ線から意外な犯罪が浮かび上がる「書鬼」、須藤が不倶戴天の同業者とオークションで競った花柳文献に隠された驚くべき秘密「無用の人」の全3編を収録する。(『古本屋探偵の事件簿』分冊版)/【目次】『古本屋探偵の事件簿』まえがき/殺意の収集/書鬼/無用の人/『古本屋探偵の事件簿』あとがき/解説対談 紀田順一郎・瀬戸川猛資
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
69
「本の探偵ー何でも見つけます」という広告を掲げる神保町の古本屋店主・須田。持ち込まれるのは図書館に寄託した稀覯本がいつのまにか古雑誌にすり替えられた事件やある女性からの依頼で幼少期の愛読書を探すうちに殺人事件にまで巻き込まれるような奇妙でディープな事件ばかり。古い本への人々の思い入れは強く、奇人や稀書を巡る須田の苦労はまだまだ続く。古書業界の裏話も面白く、古書ならではの独特のつながりや調査方法も新鮮。神保町ならではの雰囲気がよく伝わってくる〈古書店ミステリ〉だった。2023/10/22
涼
52
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2025/08/post-d8f297.html 冒頭で、古書展示即売会の様子が活写され、そこへ奪取する古本屋たちの様子が面白かったです。 実在の古本屋をモデルにした人物も登場し、興味深かったです。2025/08/30
シキモリ
27
神保町に居を構える本の探偵・須藤の元に持ち込まれる三つの事件を収録した連作短編集。どうやら復刻版らしく、今作は1980年代前半の作品のようだが、当時の時代感による古臭さは殆ど感じなかった。本探しの依頼が思いも寄らぬ事件に発展する展開も実に興味をそそる。巻末の解説対談では今作に登場する愛書家達(古書マニア)のキャラクターは決して誇張したものではないと述べられているが、だとするとこの界隈には絶対立ち入りたくない。個人的には若竹七海さんの<女探偵・葉村晶>シリーズに通ずるものを感じ取ったので、続編も読むつもり。2023/10/15
Karl Heintz Schneider
24
「本の探偵 昔の本、今の本、名簿、卒論、参考書、何でも見つけます、古書も高価買取。」神田神保町に店を構える古書店主・須藤康平。その一方で本の探偵業を営む。店を訪れるのは、いずれ劣らぬ本キチガイばかり。「本探しの極意は熱意ではなく殺意だ。」そんな一筋縄ではいかない客を向こうに回し康平は本を探して日本中を駆け巡る。・・・と、あらすじは興味深いのだけど、いかんせん時代背景が古すぎる初出は80年代だとか。登場する本も古い本ばかりで、よくわからん。最後まで共感できない一冊であった。2024/01/19
geshi
23
本を探す探偵譚のうちに蒐集家たちの強烈な業を描き出すミステリ。出てくるマニアたちのキャラが異様に強く、解説で実在の人物から作り上げたと知って凄みすら感じる。『殺意の収集』本探しの極意は殺意と言い切るところがマニアの執念。皆を集めてさてという解決場面で締める探偵の黄金律。『書鬼』男女の関係が複雑に絡むハードボイルド風味。矢口彰人の存在感が肝でラストで本の魔窟を崩壊させる構成のうまさ。『無用の人』簡単に思われた本探しと脅迫状が隠された本の別々な話が繋がる巧み。それまで温和だった閑一が鬼と化すのが印象的。2025/11/05
-
- 電子書籍
- 保存版 腕時計パーフェクト入門 学研ム…




