出版社内容情報
《内容》 難症例や術後にトラブルが生じてしまう症例が多々存在する、ぶどう膜炎と白内障の手術をさまざまなケースから、その診断と病態把握の過程、治療指針までを具体的に解説。
《目次》
1. 診断および病態解釈に苦慮するぶどう膜炎症例へのレスキュー
原田病にステロイドパルス療法を行ったが,改善がみられない
治療抵抗性の原田病難治例
漿液性網膜剥離を呈するが眼外症状がみられない症例
原田病と鑑別を要する疾患
穿孔性眼外傷例に強角膜縫合および脱出ぶどう膜の切除を行ったが,術後の治療法は
交感性眼炎の可能性がある症例の対処法
両眼霧視,移動性胞状網膜剥離がみられる全身性エリテマトーデス(SLE)の患者
MPPEと全身疾患との合併
滲出性網膜剥離および強膜の肥厚がみられるがステロイド薬治療に反応しない症例
uveal effusionの診断,治療
硝子体混濁がみられるが,前房,脈絡膜に炎症所見が乏しい中間部ぶどう膜炎,HU(HTLV-1ぶどう膜炎)
中間部ぶどう膜炎
眼内炎が急速に進行し,眼底透見が困難になった内因性眼内炎の手術治療のタイミングは
硝子体手術の時期および方法
眼底に白斑が散在し,進行性に視野が狭窄する,皮疹,関節炎の既往のある白人女性
ライム病
裂孔のない高度な胞状網膜剥離を呈する症例
多発性後極部網膜色素上皮症(multifoal posterior pigment epitheliopathy ; MPPE)の診断と治療
PCR法ないしQ値によっても診断できない急性網膜壊死様所見を呈する症例
急性網膜壊死の病期に適した病因検査法,対象ウイルスHSV-2など
対側眼にも周辺部網膜に滲出病巣および網膜壊死病巣が出現してきた
両眼性の急性網膜壊死症候群
硝子体混濁がステロイド薬に十分反応せず,他の検査所見では診断困難な症例
ぶどう膜炎診断における診断的硝子体切除の方法と対象疾患,検査項目
全身倦怠感を有する小児に腎機能障害が発見され,虹彩毛様体炎がみられた
TINU症候群
2. 治療に難渋するぶどう膜炎症例へのレスキュー
Behcet病の難治症例に神経症状が出現してきた
神経Behcet病合併例の治療,管理
免疫抑制薬を長期投与中に全身副作用を生じたBehcet病患者
免疫抑制薬長期投与と副作用の問題
進行したBehcet病症例で眼底は荒廃しているが,眼痛が持続している
Behcet病の眼痛の治療
ステロイド薬を減量ないし中止すると炎症の再燃をくり返す原田病の症例
原田病遷延例の管理法
AIDS患者の眼底に,出血を伴った黄白色の網膜病変が出現してきた
抗ウイルス薬によるCMV網膜炎の治療
AIDSによるCMV網膜症患者であるが,ガンシクロビル長期投与による全身副作用が懸念される
CMV網膜炎の治療
前房水のPCR法によってVZVが検出された症例の治療をどうするか
VZVによる急性網膜壊死の治療法
免疫抑制患者の網膜外層に急速に進行する網膜壊死病変がみられてきた
急性進行性網膜外層壊死(progressive outer retinal necrosis ; PORN)
急激に視力低下が出現した症例で,血中に自己抗体陽性を示す
視神経炎にぶどう膜炎が合併する場合
ステロイド抵抗性の強い硝子体混濁および脈絡膜病巣があり,中枢神経症状も合併している
眼内悪性リンパ腫の診断と治療
眼内悪性リンパ腫の診断と治療
周辺部から後極にかけて活動的な網脈絡膜病変がみられ,寄生虫感染が疑われたが診断に苦慮した症例
眼トキソカラ症の診断と治療
肺炎患者の網膜下に膿瘍病変がみられた
網膜下膿瘍を形成する内因性眼内炎の治療
ぶどう膜炎症例で,ステロイド薬の点眼ないし全身投与によって眼圧が上昇してしまう
ステロイドレスポンダーであるぶどう膜炎症例の消炎治療法
黄斑部網膜下増殖病変を生じた後部ぶどう膜炎症例をどう治療するか
炎症による増殖性病変の薬物あるいは手術治療
ぶどう膜炎の長期例に白内障が進行してきたが,虹彩前癒着などもみられる
ぶどう膜炎症例の併発白内障手術術式および術後管理
ぶどう膜炎で種々の降圧治療を行っても眼圧管理できない
ぶどう膜炎に併発する緑内障
若年性関節リウマチによるぶどう膜炎症例に白内障が出現してきた
若年性関節リウマチの併発白内障手術の注意
3. 治療に難渋する白内障症例へのレスキュー
幼少期より,角膜実質混濁があった。最近白内障により視力が低下してきた。手術治療は可能か
角膜実質混濁例の白内障手術
開放隅角緑内障で点眼と炭酸脱水酵素阻害薬を服用し,眼圧20mmHgを維持していたが,
白内障が急速に進行してきた
開放隅角緑内障の白内障手術
緑内障発作にてレーザー虹彩切開を受けている患者の白内障が進行した。
眼圧は正常,内皮は約1,000である
閉塞隅角緑内障眼の白内障手術
白内障手術中に突如,U/Sチップ挿入部の角膜が白く混濁してきた
超音波乳化吸引時のサーマルバーン
光凝固未施行の糖尿病網膜症に対し白内障手術を行ったところ,術後1カ月で虹彩ルベオーシスが
出現した
白内障術後虹彩ルベオーシス
特に内科的異常のない100歳の患者が白内障の進行により視力が0.1に悪化した
超高齢者の白内障手術
術前眼前手動弁,エコー上網膜剥離のみられない片眼のアトピー性過熟白内障
過熟白内障手術
視力が0.1,14歳のアトピー白内障患者の白内障手術を行うことになった。
眼内レンズ(IOL)を挿入すべきかどうか
アトピー白内障への眼内レンズ挿入
点眼麻酔のみで白内障手術を行ったがどうも効かない
点眼麻酔の無効例
痩せた87歳の患者の白内障手術を行ったが奥眼で手術が非常にやりにくくなった
奥眼の手術法
慣れないケラトームを使い,早期穿孔をしてしまった
早期穿孔への対処法
硝子体圧が高く,CCCが途中で流れてしまった
CCC 不成功例への対処法
核処理中に破嚢し数片の小さな核片が硝子体中に落下してしまった
硝子体中に核が落下した場合の対処
核処理中に破嚢し核ごと硝子体に落下した
硝子体中への核落下
82歳,女性。核が硬く,嚢外摘出術を予定し輪部切開をおいたところ,突如,駆逐性出血を生じた
駆逐性出血への対処法
アクリルソフト眼内レンズを逆さまに入れてしまった
眼内レンズの逆挿入
無事白内障手術を終え,翌日診察したところ,眼内レンズが前房に出ていた
眼内レンズの前房内脱臼
最後の核片を吸引しようとしたところ,破嚢してしまった。硝子体は,幸いあまり前房に出てこなかった
破嚢時の対処とIOLの挿入
白内障手術翌日の診察では,矯正視力1.0であった。ところが,2日目に前房蓄膿が出現してきた。
患者は眼痛も訴えている
術後前房蓄膿の対策と予防
白内障術後3カ月して前嚢の収縮が生じ,視力が悪化してきた
術後の前嚢収縮例
眼内レンズ(IOL)挿入術後1年半で少し視力が低下したが近医では異常ないと言われた
IOL挿入術後の後嚢混濁
白内障手術中に破嚢した。術後経過はよかったが,数週間後に網膜剥離を生じた
白内障手術後の網膜剥離
白内障手術中に破嚢したが,レンズも無事挿入することができた。しかし,術後視力がでない。
蛍光眼底造影をしたところ黄斑浮腫がみられた
術後黄斑浮腫
47歳の患者の白内障手術を行った。視力は良好であるが,まぶしさを訴える
術後のグレア
緑内障で,ピロカルピン点眼を使用しており,術前の瞳孔径が約3mmしかない
小瞳孔眼の白内障手術
茶色の硬い核の白内障手術をすることになった。内皮細胞数は1,600である。患者は十分な裸眼視力
を期待している
硬い核に対する白内障手術
54歳の運転手の白内障手術を行った。術前正視を予定していたが,術後-3Dの近視となった
眼内レンズパワーエラー
APPENDIX トピックス
超音波生体顕微鏡(UBM)のぶどう膜炎への応用
ぶどう膜炎の遺伝子治療の可能性
ぶどう膜炎の疾患感受性遺伝子
サイトカイン療法のぶどう膜炎への応用
後発白内障の新しいタイプ
後発白内障治療の進歩
眼内麻酔の適応
レーザー白内障手術
implantable contact lens(ICL)
APPENDIX 名医のオピニオン
ぶどう膜炎と私
ぶどう膜炎と私
南九州のぶどう膜炎
ステロイド薬内服療法の注意点
ぶどう膜炎診断・治療の要点
ぶどう膜炎治療について思うこと
苦労した原田病の鑑別診断
ぶどう膜炎と私
内容説明
本書では、眼科領域の診療のなかでも、特にぶどう膜炎の診断・治療と白内障の治療に的を絞って取り上げて解説している。
目次
1 診断および病態解釈に苦慮するぶどう膜炎症例へのレスキュー(原田病にステロイドパルス療法を行ったが、改善がみられない―治療抵抗性の原田病難治例;漿液性網膜剥離を呈するが眼外症状がみられない症例―原田病と鑑別を要する疾患;穿孔性眼外傷例に強角膜縫合および脱出ぶどう膜の切除を行ったが、術後の治療法は―交感性眼炎の可能性がある症例の対処法;両眼霧視、移動性胞状網膜剥離がみられる全身性エリテマトーデス(SLE)の患者―MPPEと全身疾患との合併 ほか)
2 治療に難渋するぶどう膜炎症例へのレスキュー(Beh〓cet病の難治症例に神経症状が出現してきた―神経Beh〓cet病合併例の治療、管理;免疫抑制薬を長期投与中に全身副作用を生じたBeh〓cet病患者―免疫抑制薬長期投与と副作用の問題;進行したBeh〓cet病症例で眼底は荒廃しているが、眼痛が持続している―Beh〓cet病の眼痛の治療;ステロイド薬を減量ないし中止すると炎症の再燃を繰り返す原田病の症例―原田病遷延例の管理法 ほか)
3 治療に難渋する白内障症例へのレスキュー(幼少期より、角膜実質混濁があった。最近白内障により視力が低下してきた。手術治療は可能か―角膜実質混濁例の白内障手術;開放隅角緑内障で点眼と炭酸脱水酵素阻害薬を服用し、眼圧20mmHgを維持していたが、白内障が急速に進行してきた―開放隅角緑内障の白内障手術;緑内障発作にてレーザー虹彩切開を受けている患者の白内障が進行した。眼圧は正常、内皮は約1,000である―閉塞隅角緑内障眼の白内障手術;白内障手術中に突如、U/Sチップ挿入部の角膜が白く混濁してきた―超音波乳化吸引時のサーマルバーン ほか)