内容説明
先駆者・伊能嘉矩、踏査の鬼・森丑之助、人類学の巨人・馬淵東一らが繋いだ研究の松明、それは同時に、日本人類学の骨格にも至る、濃密な現地/人との交流でもあった。本書は、その後を繋いできた著者による研究の「集大成」であり、「温故知新」すなわち研究史の総括・初学者への入門書でもある。
目次
第1部 総論(台湾原住民族研究小史―文化人類学を中心に)
第2部 先駆者 伊能嘉矩(伊能嘉矩とその時代―初期研究史への測鉛;台湾原住民族を俯瞰する―伊能嘉矩の集団分類をめぐって ほか)
第3部 森丑之助―忘れられた研究家(森丑之助と台湾原住民族の分類;師・友人・訪問者たち―森丑之助の研究を支えた人びと ほか)
第4部 『台湾高砂族系統所属の研究』を読む(名著『台湾高砂族系統所属の研究』をどう読むか(前篇)
名著『台湾高砂族系統所属の研究』をどう読むか(後篇) ほか)
第5部 ルカイ(魯凱族)研究史―南部山地住民の分類をめぐって(幻の“ツァリセン族”;“ルカイ族”の誕生以後)
著者等紹介
笠原政治[カサハラマサハル]
1948年、静岡県生まれ。東京都立大学大学院博士課程単位取得退学。専攻は文化人類学。現在、横浜国立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
19
日本統治時代からの台湾原住民族研究の研究史。伊能嘉矩、森丑之助、馬淵東一らの研究業績を紐解きながら、学術的にどのような進展を遂げてきたのかを解説している。特に1935年に刊行された、台湾原住民族の研究史において、最も重要な著作の一つと見なされる『台湾高砂族系統所属の研究』についての詳細な分析が興味を引く。この研究書は、移川子之蔵、宮本延人、馬淵東一の共著だが、広範囲に渡る実地調査で豊富な資料を得た馬淵の役割が際立つ。各種族の社会組織の分析に重点を置いた社会人類学の視点が研究の質を高めていたようだ。2023/07/14
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