内容説明
本書は副詞的表現ということによって、既成文法の枠にとらわれることなく、副詞なるものを緩やかに捉え、広く研究を取り込んでいる。分析の方法論的枠組みも文法論、意味論、語用論にまたがる。さらに、日、英、中、露、仏という言語に横断的に渡り合っているということで、対照研究と銘打っている。しかしながら、言語間に存在する類似、差異の基底にある概念化プロセスを目指したものではない。副詞的表現と目される形式がそれぞれの言語で、どのように語彙化、構造化され、使用に供されているかという点に関心を寄せ、副詞的表現なるものが複雑、多様であるという本質を浮き彫りにしようとする。
目次
時の副詞節と時間項の統語構造
アスペクト認知と語義―日本語の様態副詞と結果副詞を中心として
ロシア語・日本語の結果期間を表す副詞表現とアスペクト
関連性への意味論的制約―「しょせん」と「どうせ」をめぐって
英語の文頭副詞類の機能について
時間的な意味が感じられない用法のencore―passe encore「まだましだ」とet encore「そう言ったものかどうか」
接続詞と主題フォルダの関係について
副詞の視点から見た感情を表す音象徴語―その分析過程から導かれた問題点への取り組み
『論語』における時態副詞と時態語気詞の呼応
副詞と視点―英字新聞の一研究
著者等紹介
武内道子[タケウチミチコ]
神奈川大学外国語学部教授
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