内容説明
頃は永禄二年、神功皇后を葬りたてまつる御陵から命からがら戻ってきた一人の男。財宝を目当てに潜入したのだが、恐るべき罠の前に、仲間は皆、斃れたという。話を聞いた者たちもまた、御陵へと向かうのだったが…。擬古文調の流麗な文章が鮮やかな表題作の他、釈迦を巻き込んだ殺人事件を描く「蓮華盗賊」、切支丹弾圧を背景に、信仰の力と、人間の邪悪な精神との葛藤を活写する「踏絵の軍師」など全五篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
27
あのぉ、奇想コレクションって山風センセの場合、殆どなんですけど。比較的初期、キーワードは「仏教以外」かな。表題のみささぎ盗賊は天皇陵が舞台で古老の説話形式という異色作。デビュー二作目!こりゃ古いわ。あと生きた釈迦が出てくる話も不思議な趣だけど、登場人物はしっかり「山風」している。残りはキリシタン物。「不知火軍記」はアクション物の面が強く、背景に当時の国際情勢というかルソン辺りの日本人組織が故国のキリシタンを支援するって背景があり、さらに現領主と領地を奪われた嘗ての支配者天草党の勢力争いが描かれる。続く2017/12/24
timeturner
0
執着する人間たちの不気味さ、恐ろしさ、哀れさ。作者にとっては信仰も執着の一つに過ぎない。2013/07/09
KBS
0
宗教(特にキリシタン)を題材にした時代小説が中心の短編集。『蓮華盗賊』は物語の舞台にちょっとびっくりした。2011/09/24