出版社内容情報
「有夫恋」という人生の切符は、新子の人生を変えた。愛せないもどかしさ、逢えない切なさを、カラリと五七五に結んでなった「有夫恋」は、発売後たちまち大ベストセラーとなり、日本中の女性に勇気と感動を与えた。以来13年。時実新子はいくつかの駅を通過した。終着駅が見えているかもしれない今、切符がうながす方角へ、新子は走る。どちらへ―?「有夫恋」以来の沈黙をうち破る本書がそれを示している。
内容説明
ベストセラー『有夫恋』から13年、待望の最新句集。
目次
1 愛走れ
2 ヒミコ不在
3 父さま母さま
4 そうですか
5 無頼派
6 STOP
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
13
川柳作家として有名な時実新子さんが、70歳の時に発表した句集。何度も読んでいるのですが、読むたびに心を揺さぶられます。川柳というと笑えるイメージがあるのですが、この句集の作品は笑いよりも、ほろ苦さや凄みを感じるものが多いです。「私私私ドア蹴るなだれ込む」どんな状況かわからないのですが、男女の修羅場を想像します。「ぽつねんと花見る猫のいい姿」情景がパッと頭に浮かぶ良い句。「私飛ぶおもしろがって亀も飛ぶ」このシュールさが、たまりません。「罌粟咲かせどんな事にも驚かぬ」これが最後の句で締めくくりにぴったりです。2024/03/01
双海(ふたみ)
11
1929生まれ。川柳作家。「さくらさくら汚(けが)れの身には勿体(もたい)なや」・「妻ならず恋人ならず藍浴衣」・「芸術は瞬時に滅し花万朶」・「朝露を溜めるガラスの小瓶かな」・「居なくなることの爽快 渚かな」2019/02/10