内容説明
『乳房喪失』で戦後歌壇を駆け抜けた中城ふみ子。没後50年、甦る珠玉の歌。未発表の180首を含む354首を新たに収録。
目次
乳房喪失(装飾;深層)
花の原型(虚飾;不在;剥落(遺稿))
新資料(諸雑誌に既発表の作品;『花の原型』拾遺)
共鳴への道程
短歌史上の中城ふみ子―現代短歌の原像
著者等紹介
中城ふみ子[ナカジョウフミコ]
1922~1954。本名・野江富美子。北海道帯広市生まれ。東京家政学院在学中、池田亀鑑より作歌指導を受ける。「新懇」「山脈」「女人短歌」「潮音」「凍土」などに参加。1952年乳癌と診断され、両乳房切除の後、54年に再発し札幌医大附属病院に入院。病床から応募した「短歌研究」第1回五十首詠で特選となる。同年7月、第一歌集『乳房喪失』を出版。8月3日、31歳で死去
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
38
#中城ふみ子 #短歌 山うどの青き皮むき莖かみぬ何の愁ひぞ酸きしたたりは #返歌 山うどは天婦羅が好き白うどは酢味噌あえなどなんでもござれ #佐々木啓子 編 #篠弘 解説2016/01/27
芍薬
14
なんて正直な人なんでしょう!不実な夫、子供、離婚、貧困、恋、癌、死と自分の人生に一心不乱な姿勢はこちらが面食らってしまうほど。いつも自分の心に真摯に向き合わざるをえない彼女の苛烈さが苦しくも美しいです。2013/06/03
燃えつきた棒
7
作者の歌があまりにも強烈で僕も歌を書かずにいられなかった。〇不幸から黄金抉り出す彫刻刀切っ先鋭き錬金術師 以下引用…『衆視のなかはばかりもなく嗚咽して君の妻が不幸を見せびらかせり』『手術室に消毒薬のにほひ強くわが上の悲惨はや紛れなし』『担はれて手術室出づるその時よりみづみづ尖る乳首を妬む』『死に近きわれに不変の愛誓ふ鎮魂歌ははやくもひびけり』『愛少し賜へと乞ひつつ苦しめり気位高き乞食われは』『火の海の真只中に身を焼きし奔放無軌の母を許せよ』『傷つきて泥にまみれて愛無限なほもえ止まぬ命のほむら』…凄い!2013/08/10
kisibe
3
「美しき独断」というタイトルどおり。その独断が魅力だ。 没後50年に未発表の180首を含む354首を新たに収録した。 「父なき子の重みに膝がしびれゐるこの不幸せめて誰も侵すな」「灼きすくす口づけさへも目をあけてうけたる我をかなしみ給へ」 2016/09/25
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- 和書
- 蔵 〈下〉 角川文庫