出版社内容情報
石牟礼道子はいかにして石牟礼道子になったか
母はるのは、『宮野河内の人方の御恩を忘れまいぞ』と言い続けて亡くなった。私がかの地で生まれた時、村をあげて誕生祝いをしていただいたのだそうだ。」(石牟礼道子)
ことばの奥深く潜む魂から近代を鋭く抉る鎮魂の文学――『石牟礼道子全集・不知火』遂に完結! 石牟礼道子の半生のすべてが明らかに
『苦海浄土』の誕生までを描いた自伝『葭の渚』と、それ以降の今日までの歩みを渡辺京二氏が詳細年譜(120枚)として書き下ろした完全版。
[附]著者年譜・著作リスト・自筆の書・画、写真、未公表の『苦海浄土』他の草稿 ほか
推薦=五木寛之/大岡信/河合隼雄/金石範/志村ふくみ/白川静/瀬戸内寂聴/多田富雄/筑紫哲也/鶴見和子
【著者紹介】
●石牟礼道子(いしむれ・みちこ)1927年、熊本県天草郡に生れる。詩人。作家。1969年に公刊された『苦海浄土――わが水俣病』は、文明の病としての水俣病を描いた作品で注目される。1973年マグサイサイ賞、1986年西日本文化賞、1993年『十六夜橋』で紫式部文学賞、2001年度朝日賞、『はにかみの国――石牟礼道子全詩集』で2002年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。2002年から、新作能「不知火」が東京、熊本、水俣で上演され、話題を呼ぶ。石牟礼道子の世界を描いた映像作品「海霊の宮」(2006年)、映画「花の億土へ」(2013年)が金大偉監督により作られる(映画撮影時の語りの全てを収めた単行本『花の億土へ』は2014年刊行)。『石牟礼道子全集 不知火』(全17巻・別巻1)が2004年4月から藤原書店より刊行され、2013年全17巻が完結する。またこの間に『石牟礼道子・詩文コレクション』(全7巻)が刊行される。2014年、初の自伝『葭の渚』(藤原書店)刊行。
目次
1 葭の渚―石牟礼道子自伝(水俣の栄町での日々;父祖の地・天草;祖父・松太郎と事業の夢;祖母・おもかさま;天草を遡る旅;「末廣」のすみれの悲劇;水俣川河口に移り住む;原郷としての不知火海;戦争の影;実務学校期 ほか)
2 詳伝年譜(1969‐2013)
3 資料