内容説明
織田信長、豊臣秀吉、そして徳川時代に至る激動の戦乱期に、抜群の政治感覚にしたがって、来るべき権力者を見定めて主君とし、遂には徳川政権において五十四万石の地位を手中にした細川家。権威と価値観が激変する約百年をしなやかに生き抜いた、細川幽斎(1534‐1610)、三斎(1563‐1646)、そして忠利(1586‐1641)の草創期三代の軌跡を描く、圧倒的な歴史絵巻。
目次
わが子への手紙
第1部 幽斎藤孝(足利将軍家に仕える;信長の陣営に参じて)
第2部 秀吉と細川父子(奮戦する忠興―小牧長久手戦の前後;秀吉の九州平定 ほか)
第3部 三斎忠興と徳川家(その前夜―ガラシャの死;父と子の関ヶ原合戦 ほか)
第4部 肥後藩主忠利(忠利、肥後領主となる;御世はじめ―家光の親政 ほか)
第5部 光尚と三斎(肥後五十四万石を継ぐ―光尚の時代;三斎忠興の死―ある時代の終焉)
赤穂浪士と桜田門外の変―その後の細川家
著者等紹介
春名徹[ハルナアキラ]
作家、歴史研究者。1935年東京生まれ。1959年東京大学文学部東洋史学科卒業。『にっぽん音吉漂流記』(晶文社、1978年)で大宅壮一ノンフィクション賞。神奈川文学振興会(神奈川近代文学館)評議員、日本海事史学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フランソワーズ
3
室町幕府から信長・秀吉時代、そして家光に至る江戸幕府による泰平時代を生き延びただけでなく、大きく飛躍させた細川三代を追う。三代の権力への向き合い方、そして通読して感じたのが、「武士」という物の世代間格差。一括りに武士といっても、三代それぞれに違う”侍道”が興味深い。また良くも悪くも、歴史家ではなく作家的な物の見方があるのが特徴(ただ古い本だけに、廃れつつある”通説”が随所に見受けられます)。2021/11/06
三山
1
肥後細川家の基礎を作ったと言える三代の当主の概要を一気に押さえるには適している。ただしあくまで評伝であり、研究ではない。2016/07/14
ポム
1
足利幕府から戦国時代、徳川幕府と見事に生き延びた細川家三代の話。幽斎の多才と時勢を読む力、忠興の武人・文化人・父・夫それぞれ強烈な個性と逸話が非常に面白い。また信長、秀吉、家康、光秀の有名どころに宮本武蔵なども細川家以外の武将・大名も詳しく書かれているので、戦国時代そのものについても楽しめた。2014/09/07