内容説明
「戦死やあわれ/兵隊の死ぬるやあわれ…」で知られる竹内浩三。太平洋戦争のさ中にあって、時代の不安を率直に綴り、戦後の高度成長を見抜き、23歳で比島山中に消えた天才詩人、あの「骨のうたう」の竹内浩三の全作品を、活字と写真版で収めた完全版全集。新たに発見された詩2篇と日記も収録。
目次
第1章 詩篇
第2章 創作篇
第3章 日記篇
第4章 手紙篇
第5章 ずいひつ篇
第6章 まんが
補 雑稿
竹内浩三を偲ぶ
著者等紹介
竹内浩三[タケウチコウゾウ]
1921年、三重県宇治山田市に生れる。34年、宇治山田中学校に入学。「まんがのよろずや」等と題した手作りの回覧雑誌を作る。40年、日本大学専門部映画科へ入学。42年、中井利亮、野村一雄、土屋陽一と『伊勢文学』を創刊。同年10月に三重県久居町の中部第三十八部隊に入営、43年に茨城県西筑波飛行場へ転属される。44年1月1日から、「筑波日記一」の執筆を開始。7月27日に「筑波日記二」中断、12月、斬り込み隊員として比島へ向かう。45年4月9日、「比島バギオ北方一〇五二高地にて戦死」
小林察[コバヤシサトル]
1932年、三重県度会郡玉城町生まれ。宇治山田高校を卒業後、東京大学文学部卒業。現在、大阪学院大学教授
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感想・レビュー
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かおりんご
30
竹内浩三の全作品(手紙やメモ、マンガ、随筆に至るまですべて)がまとめられた一冊。何度読んでも「骨のうたう」は心に響く。この国は、本当によい国になったのだろうか。70年前に亡くなった多くの方々の願いが、叶ったのだろうか。浩三は、決して勇敢な兵隊ではなかったし、いわゆる非国民と呼ばれるタイプでもなかった。時代の流れに巻き込まれ、それでも貪欲に自分を表現しようとした。「ぼくのねがいは 戦争へ行くこと ぼくのねがいは 戦争をかくこと 戦争をえがくこと ぼくが見て、ぼくの手で 戦争をかきたい。」と。2015/03/29
ryohjin
14
竹内浩三は伊勢市に生まれ、日大専門部映画科を卒業後、召集され、昭和20年フィリピンの戦地で23歳の生涯を閉じます。戦後、残された詩や文章が世に出されました。筑波の軍隊生活の中で手帳に書かれた日記では、声高に反戦を叫ぶのではなく、訓練の合間の生活の描写にユーモアを示し、軍隊生活にそぐわない自己を、正直に等身大で記述し、芸術や文化に生きたい想いを書き付けています。その後1年もたたずに、自分の詩の言葉のように「ひょんと死ぬる」ことになります。様々なことを感じ、考えさせられ一生自分の中に残る本となりそうです。2024/08/24
takao
2
ふむ2024/06/15