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内容説明
ゲームボーイ版として発売されたウィザードリィ外伝2『古代皇帝の呪い』をベースに、ウィズの原点に立ち還るかのような狂気と殺戮の物語がはじまる。エルフに育てられた美貌の魔術師ヴァルと、商人貴族の養子となった戦士アシュエル。突如として復活した古代皇帝ハルギスの呪いからアルマールの街を守るため、生まれも育ちも違うふたりは地下へと赴くが…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっとる◎
42
古川日出男幻のデビュー作。スタートと見なされないスタート。ゲームをベースにしたファンタジー世界で、単純な正義と愛がどうしてこうなったって悲痛な声に埋もれて悪に形を転じる。純粋な願いはそのままなのに、叶うこと能わずの出自が、出ることのできない室が、まっすぐすぎる願いを軸に狂気の森を為す。集うのは魔。それは実在する。ウィザードリィというゲームを私は知らない。架空の自由なファンタジー空間。自由の中にしかし枠組みは存在し、ギリギリいっぱい繰り広げられる物語は拡散したがっているように思える窮屈さ。最初から日出男だ。2019/02/28
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17
日出男はここでも日出男だった。幻のデビュー作にしてゲーム小説と言われる混沌としたジャンルに新たな基盤を築くかの様な、ジャンル古川日出男はすでにこの時からここにあったなんて。完成度の高い新たな幻想小説の傑作が、まさか未完のままだなんて。それでも確かにその世界観は形を変え、千一夜の物語として、あのアラビアの夜の種族を描ききった日出男は本当に素敵だな。2024/04/16
チョモ
3
『アラビアの夜の種族』を読む前に、と思い購入。Wiz外伝2の小説です。迷宮内だけでなく、迷宮外の描写にも富む本作。懐かしさと感慨深さを込めて読了しました。原作が国産Wizだけあって、背景に小説化しやすい箇所もあったのかもしれません。とても綺麗に纏まったストーリーになってますネ。随所に差し込まれるオリジナル要素(設定補完)は、著者が感銘を受けたと云うベニー氏譲りか。当時のファンタジー小説は丁寧な作品が多く、それがまた快いです。ログアウト冒険文庫からの出版だがレーベルも今は無く、未完に終わっているのが惜しい。2014/03/19
しろねり
3
流麗という言葉はこの小説を表すために存在する。流れるように書き綴られた美しい文章で、ウィザードリィというゲームの世界観を下敷きにしたファンタジーが展開される。個性的で魅力的なキャラクター、ページを繰る手を止められぬ物語の展開、どれを取っても素晴らしい。ウィザードリィというベースがありながら、それを意識させない独立した物語となっている。完結していれば日本のファンタジー小説の金字塔となったであろう。未完に終わっていることが惜しまれるが、区切りは悪くはないのでこれ一冊でも充分楽しめる。2009/06/13
ネムル
2
『アラビアの夜の種族』があれば読む必要はないのかもしれないが、黒歴史とするには惜しい佳作ではある。『アラビア~』のメタ構成やユーモアはないが、ウィズを下敷きにした骨太なファンタジー世界が再現されていて素晴らしい。そして、髭なし古川日出男の著者近影w。2009/10/15
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