目次
第1章 一九世紀アメリカへのアンビヴァレンス
第2章 イデオロギーとしての家族と個の感性―ユードラ・ウェルティの世界における饒舌と沈黙
第3章 夢見る独身男の物語―ホーソーンの『ブライズデイル・ロマンス』について
第4章 虚構としての「信」―『詐欺師』と一九世紀ユニテリアニズム
第5章 家事のユートピア―エレン・リチャーズとシャーロット・パーキンス・ギルマンの家事改革
第6章 眼差しと脅かされる男性性―『暗い笑い』から『春の奔流』、そして『日はまた昇る』へ
第7章 ウェルティのクェンティン―『響きと怒り』第二章と『黄金の林檎』第五章
第8章 『ノー・ノー・ボーイ』にナショナリズムの機制を読む―二一世紀の視点から
著者等紹介
根本治[ネモトオサム]
青山学院大学名誉教授
松崎博[マツザキヒロシ]
愛知学院大学准教授
米山正文[ヨネヤママサフミ]
宇都宮大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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独立以降、多民族多文化を人為的に一つに纏める為、国家・イデオロギー・レトリックを使用し、実態を伴わない「アメリカの理念」を創造してきたことを、社会的・歴史的状況下の中で創造された文学から暴き出す。21世紀になりアメリカの「正義」の基盤が脆くなっているのは周知の通りだが、それは何も今に始まったことではなく、独立時に非現実的で曖昧なもの(愛国・正義等)を掲げてしまったが故の必然とも言える。鬱屈した閉鎖的環境下での理念は不平等・罪の正当化を生み、現実を覆い隠すことしかできない。影の歴史を再読で読み解く時なのか。2011/05/25