目次
貘さんのはなし(自己紹介;十二月 ほか)
結婚のはなし(求婚の広告;友引の日 ほか)
貧乏のはなし(野次馬;首をのばして ほか)
女房のはなし(元旦の風景;ある家庭 ほか)
ミミコのはなし(桃の花;ぼすとんばっぐ ほか)
晩年のはなし(ねずみ;世はさまざま ほか)
告別式
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
34
獏さんの詩集初挑戦。寡作で有名な氏の詩集3作からのアンソロジー。おそらくベスト・オブ・山之口獏、入門編と言えるのではないかな(?)で読み易い。とは言え、冒頭の「十二月」の詩での編集者からの注文の言をこんな風に綴る「こんな大きなりっぱな家に お住まいのこととは知らなかった (中略) 書いていただきたいのはつまり先生の 貧乏物語なんです」と。一体なんのことやら。娘さんの書いた「父・山之内獏」を直前読了、その意味が氷解して笑える。またまたラッキー選書で、我が選書力の充実を自画自賛(笑)。2025/03/31
pirokichi
23
金子光晴さんに「日本のほんとうの詩は、獏さんからはじまる」と言わしめた山之口獏さん(1903-1963)の詩の自叙伝風アンソロジー。タイトル「自己紹介」から「告別式」まで54の詩と詩集『思弁の苑』の佐藤春夫さん、金子光晴さんによる序文が収録されている。ユニークな詩が多いが、その中で私にとっての今日の一編はコレ→→「博学と無学」 あれを読んだか これを読んだか さんざん無学にされてしまった揚句 ぼくはその人にいった しかしヴァレリーさんでも ぼくのなんぞ 読んでない筈だ 2022/10/19
Shoko
16
図書館本。貘さんの詩を読む。「求婚の広告」は何度読んでも笑ってしまう。心をほぐしてくれる詩。そのひたむきさを知ると、驚いてしまうのだけれど、詩を読むと、必死さとか辛さみたいなものはほとんど感じられず、心がほぐされるような気がする。不思議な詩。2024/09/08
まちこ
3
自叙伝風のアンソロジー。身に降りかかる貧乏を形振り構わず振り払うのではなく、受け入れて詩にしてしまう大らかな気風を感じる。底抜けに明るい詩には人生の機微が含まれていながらも、些細な執着は吹き飛ばすようだ。飾らない人間であり、苦難を乗り越えてきた風貌を兼ね備えた人物との出会いを想像させる詩に、自身の概念を大きく揺さぶられた。2013/06/07
Hiroki Nishizumi
2
詩と云うよりドキュメンタリーを読んでいる気になった2024/01/18