内容説明
これまで大学の講義とは別に、いわゆる公開講座や講演の形で、いろいろな種類の研究グループや市民のかたがたの前で、その折々の話題やテーマで話す機会があったが、そんな時に準備した原稿や聞き取りの筆記が、会誌や年報などに印刷されることも多かった。これらは言うまでもなく、特定の機会に特定の聴衆に向かって話したものだから、そのような前提と枠組みとを無視して一般に公表するのは、必ずしも適当なことではないかもしれない。しかし考えてみればどんな本でも、興味のある人に見いだされて初めて意味を持つものだから、折々の機会に集まられて著者の話を聞かれたかたがたと興味を共にする読者もあるはずで、そうであるとすれば、よほど特殊なものは別として、折々の講演を集めて一冊の本にしてみる意味もないとは言えない。そう思って、著者にとって思い出の深い講演記録の中から、まだ書物になっていないものを十五篇ばかり選んてみた。
目次
第1章 文化と教養
第2章 異文化の体験
第3章 変化と深化
第4章 死を越えてゆくもの
第5章 「木下杢太郎」余韻