内容説明
近代化がもたらす故郷喪失や記憶の変容・欠落の中、我々の自己はゆらぎ、アイデンティティは混迷へと導かれる。この現代の不確定性に伴う忘却・反覆・成熟・充溢という四つの徴候群を、四人の同時代作家、後藤明生・古井由吉・村上春樹・津島佑子の作品を通して浮き彫りにするのと共に、無数の複雑系が織り成す現代の相貌“からくりとしての世界”を縦横に解読し、現代における生の新たなスタイルを提示する白熱の論考。
目次
第1章 記憶と社会
第2章 記憶の不確定性―フロイトとベルクソン
第3章 忘却と笑い―後藤明生
第4章 反復する身体―古井由吉
第5章 成熟の探究―村上春樹
第6章 記憶の充溢―津島佑子
著者等紹介
松浦雄介[マツウラユウスケ]
1973年京都府に生まれる。2001年京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。熊本大学文学部専任講師。専攻は社会学
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