目次
デザインの輪郭
選択圧
張り
考えない(without thought)
行為に溶けるデザイン
俳句
ふつう
そのものの周り(外側を見る)
手沢
最小限で生きる〔ほか〕
著者等紹介
深澤直人[フカサワナオト]
工業デザイナー。1956年山梨県生まれ。80年多摩美術大学卒業。89年渡米しデザインコンサルティング会社IDEO(サンフランシスコ)に勤務。96年帰国しIDEO日本支社を設立。2003年独立しNaoto Fukasawa.Designを設立。日本の大手メーカーのデザインコンサルティングを手がける他、イタリア、ドイツのメーカーとのプロジェクトも多数。過去のデザイン賞は、米国IDEA金賞、ドイツif賞金賞、英国D&AD金賞、毎日デザイン賞、織部賞などを含み五〇賞を超える。武蔵野美術大学教授、多摩美術大学客員教授、東京大学大学院学際理数情報学特別講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nbhd
24
村上春樹、っぽい。そして、すごい。それから、静か。無印良品のプロダクトデザインなどを手がけた深澤直人さんのアフォリズム集。深澤さんがめざすデザインの究極形態は「デザインからデザイナーが消滅すること」だ。「デザインはメッセージじゃない」「かたちは自分の意思表現ではなくて、そこにあった必然」。言葉を換えれば、アフォーダンス志向、普遍原理としてのデザイン志向とも言える。デザインは、みんながもっているモノとヒトの距離を導き出すだけという哲学に圧倒され続けた。デザイン本まず一冊といったら、これを薦めるかなと。 2017/05/05
akira
19
図書館本。 興味深い一冊だった。デザイン関係の本もちらほら読むが、みな同じような結論に至っているのも興味深い。 最近よく思うこと。デザインは実に合理的であり論理的であるということ。本書にあるように主観ではなく客観こそが大切なのだと。工業的に求められるものだからこそ、アートではなくデザインなければならない。 「自分を打ち出すだけの句は醜い。主観を消し、淡々と描写してこそ人びとの共感をよぶ」2019/08/24
Nobu A
10
先日読了の鴻巣友季子著書「翻訳のココロ」でのお勧本。著者は無印良品デザイナーも務め、アップルを始め、様々なデザインを手掛ける工業デザイナー。まず、本の装丁が瀟洒。スピン(名称が分からず、ググってしまった)2本付きなんて初めて見た。書架に飾っておきたい1冊。「はじめに」で原稿を読んで自信を失くしたようなことが書いてあるので「そんなものを出版するなよ」と思ったが、読み始めるとデザイナーの思考を覗き込むような感覚で興味深かった。ただ、所々よく分からない箇所も。素敵なデザイン写真も挿入され、言葉遣いが独特。2022/09/30
かやは
10
写真が多く、ページによって文字の大きさもばらばら。散文的で、とっちらかった感じの一冊。デザイナーである著者は、そういうざっくばらんさが許される存在なんだと思った。デザインとは、そこのあるもの。ある「べき」ものという力強さではなく、自然にあって馴染んでいて、空間を邪魔せず、切り裂かず、輪郭が際立ちすぎていないもの。その輪郭は、現実を意識するためにあれば良い。デザインの話をしているのだけれど、存在論的な哲学を語っているみたいだ。 2018/05/12
A
8
本書は、著者のデザインに関するエッセイとポエムを収録したもの。ポエムは何を言っているのかよく分からなくて面白くなかったけど、エッセイは著者特有のデザインに対する見方が示されており興味深く読んだ。ただこのエッセイの内容は、感覚的なものを無理やり言語化しようとしているせいか、腑に落ちず、今後自分の経験と擦り合わせながら理解していく必要があるのように感じた。デザイナーの繊細な感覚というのが分からない自分には難しいかもしれないけど。2016/10/15