著者等紹介
萩原遼[ハギワラリョウ]
1937年、高知県生まれ。大阪外国語大学朝鮮語科卒(一期生)。69年から88年まで「赤旗」記者。72年から翌年にかけて平壌特派員。1989年からフリー記者。米国国立公文書館の北朝鮮文書160万ページを読破、『朝鮮戦争』(文春文庫)を著わし、開戦の発端を明らかにした。『北朝鮮に消えた友と私の物語』(文藝春秋刊)で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。北朝鮮分析の第一人者として著書・訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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K.C.
2
北朝鮮在住の作家による短編集。独裁国家というものがこのように理不尽であるものかと感じさせる。太平洋戦争に敗れた後の占領軍の行動もこれくらいだったのだろうし、戦前戦中の軍部の行動もこれに近いのかもしれないが、想像の域を出ない。米朝の緊張緩和が進みそうな現在、この短編に登場する人物の状況が好転するのはいつのことになるのだろうか。2018/07/28
nata
1
全七編の短編集。自らを偽らなければ生きていけない社会の中で、心を持ったために傷つき破滅する人たち。『駿馬の一生』は馬というモチーフから、オーウェルの『動物農場』のボクサーを思い出した。一生をささげたものが欺瞞だったというのは、社会主義に限らずあり得るテーマだ。そしてこれら重苦しい短編が書かれてから四半世紀が経ったが、まだ金王朝の独裁は続いている。2019/06/22
しょうゆ
1
北朝鮮フェア3段。全短編に通底しているのは、やり場のない理不尽さ。収容所へ送られる恐怖、いつまでたっても抜け出せない貧困、いつ密告されるかわからない不安。生きることにこれほどにも制限があるものなのかとただ不憫になり、日本に生まれた自分は幸福としか言えない。「伏魔伝」が寓話っぽくて好きだった。2017/04/29
たま
0
この原稿を持ち出すことができたのですね。一人でも多くの人に読まれることを願います。2016/07/11