出版社内容情報
海外の怪奇幻想小説から、傑作を選りすぐり、
一流の翻訳で、ホラー愛好者に贈るナイトランド叢書。
第3期第3回配本は、
人気作家が自らの悪夢を綴った奇想と幻惑の短篇集。
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これらの物語は創作ではなく、
わたしが見た“夢”なのです。
見たままに綴られた悪夢、怪夢、残夢……
自らの悪夢を書き綴った比類なき作家ホワイトの
奇想と幻惑の短篇集!
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探検家のテントは夜毎にざわめき、
ジグソーパズルは少女の行方を告げ、
魔法の剣は流浪の勇者を呼ぶ――
歴史ロマンの人気作家が夢で逢った、
呪い、怪物、奇妙な犯罪、謎の孤島……
眩暈を誘う幻視に満ちた、十篇の物語。
ルクンドオ
フローキの魔剣
ピクチャーパズル
鼻面
アルファンデガ通り四十九A
千里眼師ヴァーガスの石板
アーミナ
豚革の銃帯
夢魔の家
邪術の島
あとがき
解説
エドワード・ルーカス・ホワイト[エドワード ルーカス ホワイト]
著・文・その他
遠藤 裕子[エンドウ ユウコ]
翻訳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
58
怪奇小説集。著者が見た夢をそのまま記述したという事だが、内容は割と首尾一貫しているような。ただ表題作における病の記述や「鼻面」の主人が出てくる所などは、悪夢でこういう展開見たような気がする。そういう意味で割と人間の原始的な恐怖に迫っているのかな。表題作始め気に入った作品は多々あるが、個人的には何と言っても「アルファンデガ通り四十九A」かな。一家の幸福な描写から徐々に不穏な雰囲気が迫る様はハーヴィーの「炎天」に迫るものがあるな。読んでいるうちに自分も悪夢の中を彷徨うように感じられる一冊で、お勧めです。 2021/09/15
かわうそ
30
夢をそのまま描いたというのがどこまで真実かはさておき、描写の粗密のアンバランスや不条理な急展開、さらに別視点を経由することで全編に漂うなんともいえないもどかしさはたしかに悪夢を思わせる。お気に入りは「ピクチャーパズル」「邪術の島」あたり。2018/10/30
Kouro-hou
23
怪奇幻想短篇集。収録の10篇は著者もしくは友人の夢が元ネタ、というか後書きには「一字一句違いなく書いた」とまで言及されるモノも。器用だね! なので人食い鬼に襲われて「これがペルシャだ!」と言われても突っ込むの無粋であるw 怪奇色強い作品が多いがささやかなファンタジー物、いきなり北欧ヒロイックファンタジーでイケメン主人公が剣で活躍と思いきや女を二股話になってる?wとか、臨場感溢れるスリリングなものと奇妙な世界を俯瞰する話が混在して面白い。表題作は「こびとの呪い」の題で有名怪奇アンソロジーにも収録されてます。2019/07/07
ぶうたん
13
怪談集と言うより奇談集か。有名な表題作は既読。寡聞にして知らないが、短編はこの手の作品ばかりなのだろうか。読んでいる間は読みにくさも感じていたのだけれど、読了後に振り返るとなんとも言えない味わいがあったような気がしてきた。本書での好みは「豚革の銃帯」「夢魔の家」「邪術の島」「アーミナ」あたりで偶然か後半に集中しました。いずれにしても本書に収められた恐怖を主眼とした作品は好みなので、次の刊行予定を楽しみに待ちたいと思います。2018/11/05
ハルバル
12
わたしもストーリー性のある奇妙で禍々しい夢を見たことは幾度もあって、その度になにか一言でも書き残したいと思いはしたが、夢というものは消えはしても決して後には何も残さないものだ。しかし自分の見た悪夢を小説にするという誰もが夢見たに違いない驚くべき創造をホワイトは成し遂げて見せた。まずはその事実に敬意を表したい。唐突な始まり、理由の無い脅威、辻褄の合わない恐怖がどの作品にもあり、夢を元にしたと言われれば納得できる。その中でも「ジグソーパズル」は例外的に心温まるクリスマスストーリーになっていて印象的だった。2019/05/10