出版社内容情報
海外の怪奇幻想小説から、傑作を選りすぐり、
一流の翻訳で、ホラー愛好者に贈るナイトランド叢書。
第2期第5回配本刊行!
ラヴクラフトの高弟にして、短篇小説の名手ダーレスの、怖くて優しく、奇妙な物語の数々。
少女を守る「ジョージおじさん」の幽霊、夜行列車の個室で待ち受ける物言わぬ老人、ライラック香る屋敷に隠れ住む姉妹……。
本書に登場する奇怪な人々は、あなたのそばにいるかもしれません……。
前書き
ジョージおじさん
パリントンの淵
プラハから来た紳士
B十七号鉄橋の男
幸いなるかな、柔和なる者
マーラ
青い眼鏡
アラナ
死者の靴
客間の干し首
黒猫バルー
余計な乗客
ライラックに吹く風
ミス・エスパーソン
ロスト・ヴァレー行き夜行列車
ビショップス・ギャンビット
マニフォールド夫人
オーガスト・ダーレス[オーガスト ダーレス]
1909年、米国ウィスコンシン州に生まれる。26年〈ウィアード・テールズ〉誌に小説家としてデビュー。以降、ホラー、ミステリ、郷土小説など数多くの作品を発表。39年に出版社アーカム・ハウスを設立し、H・P・ラヴクラフトやC・A・スミスの作品をはじめ、幻想文学の刊行に尽力した。71年歿。邦訳に『淋しい場所』(国書刊行会)『ソーラー・ポンズの事件簿』(東京創元社)などがある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
61
怪奇小説短編集。ダーレスというとラヴクラフトの弟子にして、クトゥルー神話の功罪が語られる事が多いが、本作は神話とは関係のない怪奇小説を収録したもの。『淋しい場所』を読んで仰天した時にも思ったのだけど、やっぱり著者の本領とは神話ではなくこういう郷愁に満ちた短編にあるように思えるなあ。本書に収録されているのはどれも古式ゆかしい怪奇小説だけど、表題作はじめ少年や少女と亡くなった人や超自然な力を持つ人間との応報や守護を扱ったものに面白いのが多い。このご時世にこういう古典的な怪奇小説を読めるのが何とも嬉しかった。2018/08/22
くさてる
23
ダーレスってなにを書いた人だろうと考えて、以前、アンソロジーで読んだ「淋しい場所」を思い出した。あの怖さ、寂しさ、人間の弱さが生み出すこの世のものでなさがこの短編集にも詰まっています。ホラーというよりは怪奇小説、幽霊譚という表現が似合います。2017/11/15
Kouro-hou
23
ダーレスはホラー界の恩人でもある偉人。でもその小説や編集においおい!と思った人も沢山いるはず。そんなダーレスのクトゥルーでない短篇集。とにかくノスタルジー感あふれる少年少女モノとなるとやっぱりこの人はとても生き生きしてるのだ。表題作の「ジョージおじさん」なんかは怪異が暴れて死人(複数)も出るが、いい話ダナー的にまとめる力技がよいw 浮気をして追い出し、その後死んだ元カノが帰ってくる「マーラ」なんかもほのぼのしてるw パターンが似通っている話も多いが読んでて優しい。やっぱクトゥルーには向いてな(以下自粛)。2017/05/23
きゅー
13
オーガスト・ダーレスといえばラブクラフトのホラー小説をクトゥルフ神話として体系化した人物として有名だろう。そういう経緯から、私は彼のことを理論派の、どちらかと言うと頭でっかちの人物としてイメージしていた。しかし、この『ジョージおじさん』に収録された小説からは、むしろ人情的で善を尊ぶ様子が窺え、非常に驚かされた。訳者によればダーレスは作家業の他に、地域の青少年教育に尽力し、ウィスコンシン大学で教鞭をとるなど多方面で精力的に働いていたという。意外だ。2019/03/01
shamrock
13
ダーレスの作品をまとめて読んだのは初。好きな作風だった。ビショップス・ギャンビットがお気に入り。2017/10/11