出版社内容情報
皇軍兵士だった台湾原住民の悲痛な運命
1942年(昭和17)植民地台湾で原住民に対して「高砂挺身報国隊」(第1回高砂義勇隊)の募集が始まった。以後、太平洋戦争下の南方戦線に向けて7回の「高砂」義勇隊が派遣された。彼らの多くが勇敢に「お国のため」に死んでいった。その「お国」とは「日本国」のことである。戦後、外省人(新たに大陸からやってきた漢族)のために二重の苦難を強いられ、日本国はいまだに彼らに人並みの補償を果たしていない。台湾原住民の心身には歴史の深い傷跡が宿っている。年老いた彼らがようやく重い口を開いて語りだした。
1 斎藤特別義勇隊の編成 遊撃隊長 小俣洋三
2 血書―第1回高砂義勇隊
(1)決死隊 ルラデンラマカウ パイワン族
(2)あれがポートモレスビーの灯だ アルツアルラバ
パイワン族
3 霧社事件と志願―第2回高砂義勇隊 ワリスピポ
タイヤル族
4 幻の高砂義勇隊―第3回高砂義勇隊
(1)全滅したはずが……
(2)二人の遺骨 ザカラ アミ族
(3)強制送還 ピリンスヤン タイヤル族
5 海軍特別陸戦隊―第4回高砂義勇隊
パワンタイモ タイヤル族
6 戦闘要員――第5回高砂義勇隊
(1)潜入攻撃 ヴヤンナウイ タイヤル族
(2)ある賞詞 イリシガイ パイワン族
(3)上官殺害事件 ダルパンポキリガン パイワン族
7 堀内部隊――第6回高砂義勇隊
(1)ブーゲンビル島 イオンハバオ タイヤル族
(2)母の笛 ロヘイタオレ タイヤル族
8 兄弟三人高砂義勇隊――第7回高砂義勇隊
イヨンハバオ ブヌン族
資料「第3回高砂義勇隊の歩みたる
歴史を取り戻す――本書「解説」より 小林岳二
「ああ、やっと書いてくれたか」、林えいだいさんの『証言 台湾高砂義勇隊』を一読した最初の感想である。本書の中に登場する義勇隊隊員の中には、私も話を伺ったことのある人がいる。私も高砂義勇隊隊員の証言は、是非、記録しなければならないと思っていた。林さんが、私に代わってその願いを叶えてくれた。しかも、「証言」と呼ぶに相応しい迫力である。私の聞き書きの能力では、とても本書ほどの内容にまとめることはできない。本書の出版を心から嬉しく感じる。
義勇隊隊員の戦地での想像を絶する、鬼気迫る体験、日本に対して抱く愛憎入り交じった複雑な想い、それが本書にはよく表れている。また、本書には「哀感」が漂う。登場する義勇隊元隊員すべてから発せられているものだ。彼らは日本の軍隊の下で、まさに命をかけて戦った。それなのに、戦後は日本政府からは放っておかれ、大陸からの外来政権である中華民国政府からは、敵国への協力者として扱われてきたのである。
内容説明
皇軍兵士だった台湾原住民の悲痛な運命。1942年(昭和17)植民地台湾で原住民に対して「高砂挺身報国隊」(第1回高砂義勇隊)の募集が始まった。以後、太平洋戦争下の南方戦線に向けて7回の「高砂」義勇隊が派遣された。彼らの多くが勇敢に「お国のため」に死んでいった。その「お国」とは「日本国」のことである。戦後、外省人(新たに大陸からやってきた漢族)のために二重の苦難を強いられ、日本国はいまだに彼らに人並みの補償を果たしていない。台湾原住民の心身には歴史の深い傷跡が宿っている。年老いた彼らがようやく重い口を開いて語りだした。
目次
1 斉藤特別義勇隊の編成
2血書志願―第一回高砂義勇隊
3 霧社事件と志願―第二回高砂義勇隊
4 幻の高砂義勇隊―第三回高砂義勇隊
5 海軍特別陸戦隊―第四回高砂義勇隊
6 戦闘要員―第五回高砂義勇隊
7 堀内部隊―第六回高砂義勇隊
8 兄弟三人高砂義勇隊―第七回高砂義勇隊
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