内容説明
銅版画『メレンコリア』は近世ドイツ美術の傑作に数えられている。デューラーは、ここで多くの芸術的、宗教的、哲学的、自然科学的な伝統を用いて独特に凝縮された作品を造りあげ、精神活動および芸術的創造性の可能性と限界を探っている。この銅版画の美術、文学、学問への多岐にわたる広がりは、さまざまな矛盾した解釈や創造的連想、現実離れした誤謬や奇抜な誤解からなる、ほとんど見通しえない迷宮を生み出してきた。
目次
有翼のメランコリア
眼と視線
人相学的表現と葉冠と蝙蝠
プットー
無秩序
諸道具と菱面体
時間と数
幾何学のタイプとメランコリーのタイプ
建築物と梯子
彗星と虹、海と陸
解釈の問題―方法論的前置き
伝記上の背景
ネッテスハイムのアグリッパ
マルシオ・フィチーノと『メレンコリア1』の哲学的意味
著者等紹介
ベーメ,ハルトムート[ベーメ,ハルトムート][B¨ohme,Hartmut]
1944年生まれ。ハンブルク大学の文芸学教授。専門は現代小説、啓蒙主義とロマン主義、文学、哲学、芸術の関係論、歴史に基づく精神分析
加藤淳夫[カトウアツオ]
1938年、名古屋生まれ。1972年、京都大学大学院博士課程修了(美学美術史専攻)。1974年より大阪工業大学専任講師を経て、2004年3月退職、元教授。専門はドイツ美術史および先史・古代美術史
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感想・レビュー
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すいれん
2
陰鬱な絵。怒りとか恐怖とかどストレートでなく、もやもやとしたなんか見ていて不安になる絵だと思う。天秤や数字の解釈、解説。大磔刑図もだけど、白黒なのに色味を頭の中で着色しておどろおどろしく勝手に変換してたりする。形にされた不安って感じで苦手な絵。でも細部まで見ちゃう。…美術って音楽もそうだけど、数学なのね。2019/04/05
わきが
0
よくわからなかった!でも、「メレンコリアⅠ」というタイトルや描かれているものから様々な解釈ができることはわかった。2012/07/04
スエ
0
デューラーの傑作版画「メレンコリア1」。25×18cmに詰め込まれた謎を追いかける良書です。ちょっと小難しいけど、美術ファンなら読んでおいて損はない。2010/11/23
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