出版社内容情報
サドマゾ的快楽にふける、妻や夫が事故で死ぬ、ワールドカップでヒーローになる……そんな空想を、ひとはけっして話したがらない。他人に知られたくないのは、自分にとって重要なものであるからだ。それなのに空想はふつう、他愛ない、恥ずかしいものと受け取られ、精神分析においても、代理満足、現実逃避といったネガティブなイメージばかり強調される。けれども空想にはもっと積極的な意義、人生を豊かにする力があるはずだ。空想は個人のまわりの出来事だけでなく、その人が属する文化を反映している。同時に、その文化に影響を与えてもいる。空想はどのように形成され、人格や行動、人間関係をどう方向づけていくのか。文化の発展や変化にどのように関わっているのか。
内容説明
従来、空想については「気晴らし、代理満足、現実逃避」といった否定的なイメージが先行し、知的論考のテーマとして取り上げられることも少なかった。本書は、「空想は主要な適応機能のひとつである」という考えに基づき、空想という心的活動の意義を検証しようとするものである。空想の素材やメカニズムについての考察、頻度や用途による分類など、興味深い空想理論が展開されている。
目次
第1章 三重に隠された神秘的な白日夢の世界
第2章 日常生活の空想
第3章 白日夢、夜の夢、遊び
第4章 官能的空想、鎮静化空想などの反復的空想
第5章 生産的空想―人生のリハーサル
第6章 共同空想
第7章 ジェンダーとセックス―心理的脚本と文化的脚本
第8章 借用空想―芸術、偶像、神話
第9章 空想と文化的変化
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