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内容説明
1945年5月、ベルリンが陥落。ついにヨーロッパの戦争は終わり、スウェーデンの港町、イェーテボリでも平和の訪れを人々は心から喜んでいた。だがウィーンへやってきたユダヤ人姉妹ステフィとネッリには、もはや帰る家はなく、父親の安否も知れない。異国の地で、養親や友人たちに支えられ、逆境を乗り越えて、大きく成長した二人。ステフィは町の高校を、ネッリは島の小学校を卒業。不安な思いを抱きつつ、新しい一歩を踏みだそうとする二人の本当の居場所は、どこにあるのだろうか?コルチャック賞受賞、「ステフィとネッリの物語」最終巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
47
終わってしまいました。しっかり者のステフィより、ネッリが気になっていたので、父親を忘れてしまった事に(ああ、やっぱり)と切なかった。映画「太陽の帝国」で、日本軍の捕虜収容所で要領よく立ち回っていた男の子が、終戦後に離れ離れになっていた親子が再会できる場面で、親の顔を忘れていたと分かった時のショックが蘇りました。これほどの戦争の悲劇が此処にも起きていた。父親の精神的なダメージを思うと、子供たちの住所を忘れていたとしても不思議ではありません。アメリカという新天地で親子3人、幸せになって欲しいです。2016/09/25
七色一味
35
読破。シリーズ最終巻。ステフィにとってもネッリにとっても、それはある日突然、という感じじゃなかったかな?ベルリン陥落。そう、ドイツ軍の降伏、そして戦争の終結。浮かれ騒ぐ人々の中にあって、二人の想いはどんなだったか。母親の死を乗り越えて、それぞれに自立しようと足掻く二人にとって、それは朗報だったかもしれないけど、居場所のなさを改めて実感させられもしたかもしれない。2017/04/10
ぱせり
17
長く苦しい「旅」をしてきた二人。自分にできる精一杯のことをやって生きてきた。「旅」はこれからも続く。この地に初めてやってきたとき「この世の果て」と呼んだステフィが今、「この世の真ん中」と呼べるようになった事がこれからの彼女の旅への餞のように思いました。新しい旅に出る二人、良い旅であるように。2010/01/09
kangaroo
14
ああ終わってしまったという思いと、二人の人生はこれからも続いていくのだという思いで胸がいっぱい。ステフィとネッリを中心に描いた作品だが、二人のまわりの人々の描き方が薄っぺらではないのがよかった。それぞれの人の歴史、信条、生活が垣間見れた気がする。ネッリの「なにもかも複雑すぎる。どうして、もっと単純に生きることができないんだろう」という言葉が印象的。2010/11/04
杏子
13
とうとう四冊目。戦争の爪痕は多くの人々を苦しめていた。戦争が終わって手放しに喜んでいる人と、なおも苦しんでいる人がいる。ステフィも、パパの行方を求めて奔走するが。ネッリの心中も吐露されていて、そうだったのか!と胸が痛い。二人が自分の居場所を求めてもがき続ける姿は見ていて悲しいが…。それでも、不安でいっぱいなのに、やっと一歩を踏み出していく二人。ここから先は想像しかできないが。きっとステフィもネッリもそれぞれ遠い異国でせいいっぱい生きていったに違いない。亡くしたものは戻らないけれど、また新たに得るものはたく2012/11/15
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