感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
104
グランドコートとグエンドレンの関係は、「風と共に去りぬ」のように思える。2巻では中心のお話しは、グエンドレンよりもダニエル・デロンダとユダヤ娘マイラーと、ダニエルとユダヤ社会とのかかわりとなってくる。自分の出自も気になるダニエル。しかし、Curiosity killed the cat ということわざが何度も頭をよぎる。そして、気になるグエンドレン。その気の強さで彼女ばかりが割の悪い思いをしてはいないだろうか。こういう話は男性が助けてあげたくなる女性が得をすることが多いから心配だ。2017/02/24
やいっち
10
第二巻では、この小説の大きなテーマの一つがユダヤ人問題だと分かって来た(最大とは言わないが)。もっと大きくは宗教的慈悲ということになるが、それをユダヤ人の娘マイラとデロンダという青年(やや理想的に描かれ過ぎているのが鼻につく)との関わりの中で描いている。今、たまたまD・Hロレンス著の『黙示録論』を並行するかのように読んでいるが、この本もユダヤ人問題とは不可分の内容で、論というより、ある種の詩的狂熱で描かれた宗教論の書である。 2017/02/10
ロピケ
3
1巻からがらりと雰囲気が変わった感じ。政治と宗教の世界へ。グウェンドレンの魂は成長の第二段階へ進むのか?デロンダには新たな精神的事件を経験しつつも、恋心が芽生えつつあるのか?気になる関係が用意され、ますます引き込まれる。それにしても、ジョージ・エリオットって、場面を説明するのに絵画のあれこれを引いてくる。それも気になる。それに、政治や社会、歴史など大きな世界を扱いつつも、人間の心の動きもしっかり掴んでいる感じ。グウェンドレンの自尊心をチクチク突いたクレズマー先生が再登場していて面白い。2011/04/18
tekka
1
「悪魔はわれわれをあくまでも説得して、最もたしかな保護手段に反対させるために、準備することを好んで侮りの対象にする。」2023/07/16
takeakisky
0
グエンドリンの葛藤。叩かれて深みを増す。気の毒だが、惹き込まれる。内向性が外向きに変じた時のダニエルの逡巡と一途さ。暦。その期限のこないうちにしたくないことにとりかかるのは、ほとんど骨折りがいのないことである。マイラーとユダヤに対する関心。モルデカイ。説明のつかない引力には少し興を削ぐ。ダニエルをしてここまで慕わせる訳。多様な考えを押さえる必要はあるが42章は、ちと長い。自分が多民族的環境に置かれていないからか、このじりじりするような民族主義はなかなか理解し得ない。そういうものなのね、と納得させつつ先へ。2024/07/03