1941年。パリの尋ね人

1941年。パリの尋ね人

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  • サイズ B6判/ページ数 205p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784878933073
  • NDC分類 956
  • Cコード C0097

内容説明

「尋ね人。名前ドラ・ブリュデール、女子、十五歳、目の色マロングレー、うりざね顔…」。1941年12月31日、占領下のパリの新聞に載った「尋ね人広告」。これを偶然発見した時から、作家モディアノの10年にわたる少女ドラの行方を探す旅がはじまった…。歴史の忘却に抗し、名もなきユダヤ人少女のかすかな足跡を追い求め、フランスを感動の渦に巻き込んだ名作。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

197
本書は小説ではなくドキュメンタリー。モディアノが目を止めた1941年12月31日付の「パリ・ソワール」紙の「尋ね人」欄にあったドラ・ブリュデール(当時15歳)を8年間追い続けた記録。この書物が彼の他の小説に先行するわけではないが、モディアノの小説に見事なまでに符合する。すなわち、失踪の物語だ。ドラの最期はアウシュビッツに消えたことがわかったのだが、聖心マリア学院から脱走した後の行動はついに不明であった。モディアノは、それを「誰も奪うことのできなかった彼女の秘密」として慈しみ、限りない愛惜の念を持って語る。2014/11/22

初美マリン

105
素っ気ない文、占領下のユダヤ人の痕跡を追いもとめるのには、相応しいのかもしれない2019/09/09

Willie the Wildcat

76
新聞広告に端を発した探訪。時間を隔てたユダヤ人少女の足跡に、著者の半生を重ねる。垣間見る史実の本音と建て前。少女が感じたであろう孤独感、理不尽さ、あるいは絶望感を通して問いかける占領下における”自己責任”。酷と言えば酷ではあるが、心底に響く。掲載された数々の写真の中でも「ドラ父娘のアウシュビッツ移送記録」は特に印象的。訴えてくる何か・・・。文字にできなくても、感じる”何か”を記憶に留めたいと感じる。静かな時間の流れが印象的な読後感。2017/08/12

アキ

65
「ドラ・ブリュデール」ノンフィクション作品。1941年12月3日独占領下パリの新聞に載った尋ね人広告から、フィクション「新婚旅行」を書いたが、著者は父親も同時代のパリを生き抜いたユダヤ人であったことから徹底的に当時の資料を調べ事実だけを書き記す。彼女の写真が残されているが、どれだけ調べても彼女が何を思い何を考えたのかはわからない。「人生は浜辺に残された足跡のようなもので、打ち寄せる波によってすぐに跡形もなく消されてしまう」そんなかすかな足跡を捉えて形に残すのが作家の務めであると。そんな姿勢に執念を感じる。2019/09/11

らぱん

59
著者自身がこれは小説ではないと言っているのだが、不在の主人公という特別な形の物語だと思った。数多の被害者や犠牲者はその数の大きさに圧倒され個人が見えなくなる特性があると思うが、この作品では個人を追いかけることで結果として歴史が見えてくるようになっており、戦時中の尋ね人の新聞広告から暴かれるのは、ドイツ占領下のフランスが積極的にユダヤ人を収容所に送り、戦後にはそれをなかったことにした事実だ。しかし、これは単なる糾弾ではなく、少女に象徴される被害者も少女を虐殺した加害者もわたしたちだということではないか。↓2020/07/31

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