内容説明
天才アラーキーの亡き愛妻がつづった愛と日常をめぐる珠玉のエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mukimi
61
まさに愛と情が生々しく活きる。バブル期、お金や立身出世や倦怠期の心配なんて一切無用、好きなものだけを身に纏い好きなものだけを食べ夢見ながら鼻歌歌って映画のヒロインのごとく女の人生謳歌してる奥様の贅沢ライフは清々しいほど素敵。「人間が本来持っている快楽的でお下劣でだらしがない部分をもっと認めてあげたらいいじゃないですか」彼女の自由な感性を通ると何でもロマンティックに見える魔法。愛する夫に凡ゆる赤裸々な姿を撮影され、最期は棺に入った姿まで撮影された美しい妻。月曜朝に読了するにはあぁなんて濃密すぎた愛の記録。2019/08/26
こばまり
29
被写体としての陽子さんは度々目にしておりましたが、ここまで軽やかで饒舌で、時に魅力的にはしたない文章を書かれるお方であったとは。一冊まるごと夫であるアラーキー氏へのラブレターです。あぁ幸せだなァとしみじみ感じておられる箇所がそこここにあり、胸がつまりました。2014/07/07
tom
19
ここ最近、荒木経惟の写真集を眺めている。荒木の写真は、何やらすごい。きっと、写真の中に現れる被写体の目がすごいのだと思う。そして気になりだしたのが陽子さんという人。荒木は、彼女がいたから・・と述べる。陽子さんも同様のことを述べる。一方で、二人の関係は不思議いっぱい。ということで、陽子さんは何者なのか知りたくなる。不思議な人だ。超越人の荒木に乗っかって奔放をしている。でも、彼女も超越している。世の中の基準をサラリと抜け出している。こんなことあるのかと思う。ただし、彼女の書く食い物話は少しも面白くない(笑)。2025/02/28
Gummo
19
写真家・荒木経惟さんの亡き妻が、夫との出会いから18年間にわたる「愛情生活」を赤裸々に綴ったエッセイ集。愛猫チロも登場。ファニーでクールで、エロティックでセンチメンタル。彼女の自分に正直で繕わない在り方がそのまま表現された素敵な文章だった。夫婦生活の終焉を暗示しているかのような「あと5年?」というエッセイが切ない。★★★★☆2013/10/22
ぐみべあ
13
生々しい。そこまで見せてくれなくていいのにと思うほど、写真家である夫荒木との私生活、性生活をあけっぴろげにおしみなく出してくるので、読者である私は顔を覆いながらも、好奇心が抑えきれず指の隙間から二人の生活を覗いてしまう、そんな感じ。「冷静と情熱のあいだ」そんな言葉が似合う人だと思う。他の女性を撮影する(だけじゃなくおそらく寝ている)荒木に対しての想いの揺れが描かれているのもおもしろい。「全然気にならない」「でも複雑」を行ったり来たり。その気分のムラが面白く、振り回される。2020/05/09