内容説明
戦国の闘いは現代に通じる経済の闘いでもあった!進歩的と言われる信長の経済政策は事実とは大違い。義元の領地三カ国を合わせても米の収穫量は尾張一国に及ばなかった。など、関連資料を駆使して若き日の織田信長と実在の家臣・岩室長門守の闘いと桶狭間の実像を描き、まったく新しい戦国群雄像に迫った時代小説意欲作!桶狭間の勝利は偶然ではない。冷静かつ理論的に可能性をギリギリまで追求した信長の戦略とは?
著者等紹介
楠乃小玉[クスノコダマ]
岡山理科大学卒業後、大手製菓会社に勤務する傍ら郷土史家である父の影響で歴史研究をはじめる。ブログに連載していた「信長物語」が注目を浴び、メディアファクトリーのウェブコミック誌コミックヒストリアにて原作者として『‐信長物語‐恋する信長』を連載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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eirianda
9
素破の岩室の目線で織田と今川の戦いを描いた新しい切り口の歴史小説でした。経済政策や群衆への情報操作などが細かに書かれていて、群衆心理が振り子のように動くさまは、今も昔も変わらないのだなぁ…。というか、昔から庶民はこうして操られ流されているのかと、今の自分を省みるのでした。解説があって、日本史に疎い私にはありがたかったわ。2016/10/08
getsuki
6
ようやく読めた。信長と岩室、ふたりを軸に桶狭間までを描く物語。綿密な調査に裏付けられた尾張と駿河の鍔迫り合いが面白いし、当時の人々の考え方と信長の思考との違いがここまでくっきりと出てくる作品は中々無いので、すごく刺激的でした。章末の解説もありがたい。そして従来、中世の破壊者という位置づけだった信長像がこうなるかーと率直に思った。著者の労力に敬意を評しつつ、次作も気長に待っています!2016/12/06
漆黒猫
3
信長と今川との闘いを、経済の対決にしたのは面白い。 岩室と信長の関係も良く描けていたと思う。 歴史ものというより、経済の話としてみるといいかもしれない。 含蓄が多いので、このあたりは合う人と合わない人がいそうな気がする。 用語の説明やら、地図があったりするので、親切な気がした。2016/06/25
木下充矢
2
豊富な資料を駆使して描かれる、斬新でリアルな信長像。ここで描かれる信長像に、私はちょっと、ユリウス・カエサルを連想しました。主人公の岩室がまたいい。万事に冷徹な謀略マシンが、信長に接するうちにどう変わってゆくか。最大の好敵手・藤林長門守との、お互いへの敬意も心に残ります。情報操作に右往左往する世情も、自分が一番賢いと信じる知識人たちも、私には全く過去のものとは思われませんでした。参院選が、来週に迫っています。私は、本当に自分の頭で、考えることができているのだろうか。そんなことを思いました。2016/07/03
ぐるぐるたん
1
とにもかくにも、この方の作品作りにおける設定の作りこみが凄い。 本当によく調べられており、細密に練りこまれていて、毎回感心する。 今後とも色々と作品の幅を広げて色々な作品を書いていっていただきたい。 いつまでも待っています。2016/10/18
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