出版社内容情報
かつて囲碁の「名人」は、最強の棋士ただ一人に与えられる終身制の称号だった。昭和十三年、最後の終身名人にして「不敗の名人」と呼ばれた本因坊秀哉は、自身の「引退碁」として、若手の大竹七段から挑戦を受ける。秀哉名人は六十五歳、病を押しての対局は半年に及んだ。緊迫した応酬が続く闘いに、罠を仕掛けたのは……。命を削って碁を打ち続ける、??の老名人の姿を描いた珠玉の名作。
内容説明
かつて囲碁の「名人」は、最強の棋士ただ一人に与えられる終身制の称号だった。昭和十三年、最後の終身名人にして「不敗の名人」と呼ばれた本因坊秀哉は、自身の「引退碁」として、若手の大竹七段から挑戦を受ける。秀哉名人は六十五歳、病を押しての対局は半年に及んだ。緊迫した応酬が続く闘いに、罠を仕掛けたのは…。命を削って碁を打ち続ける、痩躯の老名人の姿を描いた珠玉の名作。
著者等紹介
川端康成[カワバタヤスナリ]
1899(明治32)年、大阪生れ。東京帝国大学国文学科卒業。一高時代の1918(大正7)年の秋に初めて伊豆へ旅行。以降約10年間にわたり、毎年伊豆湯ヶ島に長期滞在する。菊池寛の了解を得て’21年、第六次「新思潮」を発刊。新感覚派作家として独自の文学を貫いた。’68(昭和43)年ノーベル文学賞受賞。’72年4月16日、逗子の仕事部屋で自死(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
41
囲碁のことはよく分かりませんが、緊迫した空気を感じました。自身の「引退碁」として受けた挑戦は病を押しての対局というのが覚悟すら見えます。命を削ってまで囲碁を打つ老人を描いた名作だと思いました。囲碁のことを知っていれば、この物語をより深く読めたのでしょうね。そこが残念です。 2025/10/30
はなん
24
新井素子解説、ということで。)囲碁の世界。知ってはいても打つ訳ではなく、正直、その対局場面はなかなか厳しい読書になった。が、囲碁という世界に命懸けで立ち向かう姿には某マンガも手助けになってなんとなく、分かる。あくまでもなんとなく、なのだけれど。そして素子さんの解説。その最後。20代、40代、70代、そしてその先でももしかしたら同じ作品を読める。受け止める感覚はそれぞれ変わる。そこにとてもこころが震える。時代を超えて。自分もまた時代を超えていく。ああ、読書っていいな。そう、思う。2022/12/31
たぬ
22
☆3.5 ルールを知らないため対局の具体的な中身についてはさっぱりわからず。なので65歳の本因坊秀哉を取り巻く人々との人間模様を焦点に読んだ。一日数時間打つ→数日休む→また数時間打つ、しかも病気療養を挟んだために半年にも及ぶ対局だったとは。囲碁というのは勝敗が決まるまで1、2時間の食事休憩はあっても基本ノンストップで進行するものと思っていたし、「封じ手」を二重三重にもして金庫に入れておくことも初めて知った。なんともまあ気力体力を消耗するものだ。2025/05/04
ソーダポップ
16
家元としては最後の「本因坊」であった本因坊秀哉の引退碁の観戦記を元にした小説である。対局相手の「大竹七段」としている他は、ほぼ実名で書かれているので、小説という印象はなく、むしろルポルタージュに近い。引退碁が打たれてから約85年。当時を知る人はほとんどいなくなってしまっただろう。この本がなければ、当時の対局の様子を窺い知ることは非常に難しい。貴重な記録であり、そして、魅力的な小説だ。囲碁好きだけでなく、囲碁に親しみのない人が読んでも、何か心が動かされる、そんな部分がある小説だった。2025/11/16
雲國斎
16
川端康成の小説を読むのは何十年ぶり?記憶にないほど。 本作は、囲碁界に君臨する不敗の名人、本因坊秀哉の引退碁の一局を描いた名作だそうだ。病を抱える老名人は、命を削って戦いに臨むが、若手七段の策略?といえなくもない一手に思わず「ずるい」とこぼし、老いてなお人間の性をのぞかせる。ちなみに七段のモデルは後の名棋士木谷実だ。互いの体調や盤外の駆け引きなどもあり数か月に及んだ対局。持ち時間各40時間。すごすぎるわ!2023/01/11
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