出版社内容情報
日本の将来は主権者である国民が決める!改憲のYES/NOも国民が答えを出す!そのための国民投票のルールとは何か?中山太郎ほか各党の憲法担当者の公開討論会も登壇。
はじめに
第1章「9条改憲」Q&A
憲法改正とは
国民投票とは
第2章
真っ当な国民投票のルールとは
公開討論会/改憲の是非を問う国民投票 どんなルールで行うべきか
パネリスト:阿部知子(社民党)・枝野幸男(民主党)・中山太郎(衆議院憲法調査会会長・自民党)・保岡興治(自民党)・魚住裕一郎(公明党)
*資料「真っ当な国民投票のルールを作る会」の市民案と要望書
諸外国の国民投票
第3章 国民(主権者)による国家意思の決定を否定してはならない
近未来ドラマ 漫画「9条改憲」国民投票
憲法改正の動きが加速化しています。自民党は結党五〇周年にあたる〇五年一一月までに党の憲法改正原案をまとめると表明。民主党も〇六年五月までに独自の憲法改正原案を作るとしています。こうした動きに呼応するように、財界トップを擁するさまざまな組織からも憲法改正の具体的な提言が行われています。そして、その眼目となっているのは、まちがいなく「九条改憲」です。
「北朝鮮による拉致事件」や「九・一一以降頻発するテロ」の影響もあり、国会では護憲を掲げる共産、社民両党の議席が大幅減。こうした追い風を背に、政府・自民党は自衛隊のイラク派遣に続き多国籍軍への参加も果たしました。あとは「現行憲法下においても集団的自衛権の行使は可能」という解釈を押し通すこと。これにより憲法九条で「交戦権」が認められていないにもかかわらず、アメリカが絡む戦争に日本が参戦できるようになります。自民党はこうした憲法九条の「解釈改憲」(法解釈の変更による実質的な改憲)を強引に進めているのですが、その一方で、国民投票法の制定など「明文改憲」(正規の手続に則り行う改憲)への準備も着々と整えています。
憲法改正の発議に必要な衆参各院三分の二のハードルは高くになります。
自民党は公明党のみならず、民主党とも調整を図りながら、早ければ、〇五年秋の臨時国会で国民投票法案を提出しようとしています。こうした動きに対して九条護憲派は、「改憲の一里塚造りとなる国民投票法の制定に反対」と主張します。でも、そうは言っても国会法の改正や国民投票法の制定は「憲法改正の発議」とは違い、衆参各院で過半数の議員が賛成すれば可決されます。つまり、自・公の連立与党だけで果たせるということです。となると、共・社両党や九条護憲派の人々がいくら「反対」と叫び続けても、近い将来、両法が改正・制定されることはほぼ間違いありません。ならば、改正・制定を阻止するというのではなく、まともな法律(ルール)が作られるよう立法府に働きかけるべきではないでしょうか。
憲法改正の是非を決める国民投票は、私たちの最も重要な主権行使の機会です。だから、護憲派であれ改憲派であれ、どんなルールにするかについてはみんなで考え、私たちの意思が正確に反映されるようにしたい。そう考えた私は、おかしなルールにされないよう、国会での審議が始まる前に主権者の側が「真っ当な国民投票のルール」を作って広く国民に示すとともに、衆参両院のためにこの本を作りました。そして、憲法問題の初心者にも理解していただけるように、できるだけわかりやすくと心がけました。
第一章では「九条改憲」問題にかかわる基本的な用語や動きなどに関してQ&A方式で解説しています。
第二章では公開討論会でのやりとりを採録しました。国民投票のルール設定の具体的な中身について、ここから学んでください。
第三章では「憲法改正国民投票」による九条問題の決着、つまり「国民(主権者)による国家意思の決定」を否定し阻もうとしている人たちへの批判を、やや専門的に記しています。
加えて、読者の皆さんに今後の展開を具体的にイメージしてもらおうと、「九条改憲」国民投票の近未来ドラマを作り漫画化しましたので楽しんでください。
では、Q&Aからどうぞ。