内容説明
果たされなかった行為のすべてから、わたしたちが最後まではなしとげなかった行為のすべてから、わたしたちが昼や夜を織り出しているもののほとんどすべてから、自己自身あるいは他者との実現しなかった出会いのすべてから、ある日危機が生まれる。ひとりの女性が、冬の真っ最中、ひとりで引きこもっている家でこの「魂の夜」を見た。彼女はその夜を探険し、その夜に入り込み、心に直に触れる簡潔で、正しくて、運命的な文章で書きとめる。鏡による航海であり、イニシエーションの物語であるこの『魂の夜』は、この上なく深く、この上なく簡潔に、存在の謎と困難さそしてその幸福とを喚起する。カミュ文学賞受賞。