出版社内容情報
「カルノーはその理論的考察の基礎に、熱量の保存と永久機関不可能の二つの原理をおいた。これらは共に、当時のだれにとっても異存のない原理であった。カルノーはまず、水力とのアナロジーに訴えながら、高温物体から低温物体へ熱が移動するときには必ず動力を発生させうること、したがって、動力の発生をともなわない熱の移動――たとえば温度の異なる物体を接触させたときの熱伝導――は必然的に動力の損失であることを指摘する。こうして、驚くべき簡明・直截なやり方で熱機関の効率を最大にするための条件が定式された。ついでカルノーは、この条件をみたす理想機関としていわゆるカルノー・サイクルを提示し、二つのカルノー・サイクルを逆向きに結合した系に永久機関不可能の原理を適用して、熱機関の基本定理――それはやがて熱力学第二主則の基礎となる――をうちたてた。」
(広重徹「解説」より)
“カルノーの原理”で知られるサヂ・カルノーは、その理論と意義を、1824年に『火の動力、および、この動力を発生させるに適した機関についての考察』として出版した。本書は、この『考察』に加え、遺された研究ノート、弟イッポリートによる伝記、訳者による『考察』の歴史的背景を論じた「解説」を付す。産業革命が進み、蒸気機関がますます利用されるなか、その働きの理論を一般の人々に向けて執筆し、熱力学の出発点となった古典。
内容説明
“カルノーの原理”で知られるサヂ・カルノーは、その理論と意義を、1824年に『火の動力、および、この動力を発生させるに適した機関についての考察』として出版した。本書は、その『考察』に加え、遺された研究ノート、弟イッポリートによる伝記、訳者による『考察』の歴史的背景を論じた「解説」を付す。産業革命が進み、蒸気機関がますます利用されるなか、その働きの理論を一般の人々に向けて執筆し、熱力学の出発点となった古典。
目次
1 熱の科学と技術―熱力学の歴史的背景
2‐1 火の動力についての考察
2‐2 数学、物理学その他についての覚書
3 カルノーの生涯(イッポリート・カルノー)
著者等紹介
カルノー,サヂ[カルノー,サジ] [Carnot,Nicolas L´eonard Sadi]
1796‐1832。フランスの物理学者・数学者。陸軍大臣ラザール・ニコラ・カルノーの長男としてパリに生れ、エコル・ポリテクニークに学ぶ。数学・物理学・化学に秀でた天分を発揮するとともに、音楽・美術・スポーツにも通じていた。熱機関の研究に力を注ぎ、熱力学第二法則を導くなど熱力学の基礎を築いた。一時は軍務に服し、1828年に退いたが、コレラの流行によって若くして歿した
広重徹[ヒロシゲテツ]
1952年、京都大学理学部物理学科卒業。理学博士。1975年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 和書
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