内容説明
伝説の雑誌『ガロ』元副編集長、語り下ろし。漫画家を目指し上京した青年と『ガロ』創刊編集長・長井勝一との出会い、漫画編集としての青春、『ガロ』休刊の裏側。青林堂の編集者一斉退職事件、青林堂と青林工藝舎への分裂、自身の慢性白血病、最愛の妻を襲う不幸、悪性皮膚癌発症、繰り返す転移と度重なる手術という苦難の中、それでも生涯一編集者として「残したかったもの」とは…。
目次
『ガロ』との出会い
『ガロ』編集長
『ガロ』編集部へ
『ガロ』編集道
『ガロ』とバブル
『ガロ』長井会長・山中社長体制へ
『デジタルガロ』の真実
『ガロ』休刊の裏で
『ガロ』社員一斉退職後の苦難
白血病と余命宣告
やまだ紫との別れ
命が消える前に
『ガロ』編集魂
全身編集者
著者等紹介
白取千夏雄[シラトリチカオ]
北海道生まれ。1984年、青林堂にアルバイトとして入社、翌1985年4月から正社員となる。『ガロ』時代は主に男性作家、特に根本敬、新人としてはねこぢる、古屋兎丸、福満しげゆきなどを担当。1997年、青林堂から親会社ツァイトに移籍し、『ガロ』副編集長、『デジタルガロ』編集長を兼任。2005年に白血病により余命一年未満の宣告を受ける。2007年より京都精華大学にて非常勤講師、また日本のジャーナリスト専門学校講師に就任。妻は漫画家のやまだ紫(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kei-zu
22
かの伝説の雑誌の編集長の自伝。前知識がなかったので戦後間もなくから始まるかと思いきや、著者は私といくつも変わらず。そんなわけで90年代の懐かしい作品名が並ぶ。著者が掲載を主張した唐澤商会の本は、夢中になって読みました。本書のヤマ場は編集者の一斉退職事件。縷々著者の説明がある一方、巻末には当時の社長の衝撃的な一文が。これは、「藪の中」だねぇ。奥様のやまだ紫さんとの純愛も感動的。多くの人に読まれてほしい。2024/08/06
阿部義彦
21
ガロはさんざん世話になったのに、元副編集長の白取千夏雄さんの事は知りませんでした。やまだ紫さんの旦那さんだったなんて。今初めて知りました。もちろんやまださんは大好きな漫画家でしたが。カバーを取った表紙の、写真の三人、長井勝一さん、南伸坊さん、そして著者の有様がなんとも時代を象徴していて良いですね。ガロの末期にかんしては全然知らなかったので、興味深く読みました。今頃白取千夏雄さんとやまだ紫さんは仲良くあの世で結ばれているのでしょうね。まさしく命を削って語り下ろした当事者の肉声です。2021/03/21
akihiko810/アカウント移行中
19
80~90年代の青林堂に勤務したガロ元副編集長で、ガロ漫画家やまだ紫の旦那である著者の自伝。印象度B+ 元は『全身編集者』として劇画狼氏が自費出版し、界隈で話題になった本。 青林堂が分裂した内紛の経緯状況や、妻やまだ紫との死別(十以上年下の旦那で、やまだ紫は元夫にDVを受けてたらしい。「しんきらり」などの傑作はその壮絶な経験から生まれたのか)、弟子の劇画狼がエロ劇画家・三条友美の漫画単行本を、一般人(ただのファン)にかかわらず編集し発刊するために編集道を手ほどきした話などが載っている2021/07/10
チェアー
8
ガロが好きで、編集者という仕事が好きで、やまだ紫が好きでという気持ちが伝わってくる。ガロ騒動というのはなんとなく知っていたが、本当はこんなことが起きていたのかと知る。と思っていたら、あとがきでびっくり。やまだ紫の文章や漫画、もっと読みたい。2021/04/20
nobu23
7
ガロの編集者の視点から見た当時の内情などが描かれている。ガロは読んだ事無いが、登場人物達が特徴的で編集者の物語として面白い。 著者はもう亡き人だが、最後に追記された関係者の方々の話がどんでん返しで驚いた。 真実は人の数だけあるのだなぁとしみじみ思った。2021/04/03
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