内容説明
かつての軍事政権下、韓国を訪問中、無実のスパイ容疑で逮捕され、死刑を宣告されたアボジを救出するためにたたかい抜いた在日家族の物語。
著者等紹介
黄英治[ファンヨンチ] 
1957年、岐阜県生まれ。2004年、小説「記憶の火葬」で「労働者文学賞2004」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジョナ
1
          
            突如、いわれもない罪で「死刑」を宣告された「アボジ(父)」とその家族の物語。1970〜80年代、軍事独裁政権下の韓国滞在中に「北のスパイ」の濡れ衣で逮捕・投獄された在日コリアンは、100人以上とも言われている。私は在日4世である。主人公の呼び名が私の本名と同じであることはさておき、他人事として読めなかった。私たちの家族にも同じことが起こり得なかったとは言いきれないからだ。本書は、「現代史」の闇という亡霊が描かれているだけでなく、日本のファシズム化に警鐘を鳴らしている。物語は終わっていない。2014/01/10
          
        mamaou
0
          
            1年くらい前だったと思うのだが、黄英治という作家を知り、この作品を読みたいと思っていた。最近県立図書館にあるとわかりやっと手に取ることができた。韓国現代史に詳しく無い私だが、当時濡れ衣で投獄された在日が多くいたと知るとともに、家族たちの苦労や政治的な背景に翻弄される人々が切ない。一人の少女が語り部となり展開する事実に基づいたこの物語は、ちっぽけな悩み事を何年も抱えて生きてきた私にパンチを与えてくれた。強烈な印象をうける作品だ。本書が今、書店に並ぶことを祈る。2023/01/30
          
        


 
               
              


