内容説明
「絵はがきの黄金時代」は、石炭産業の全盛期と重なっていた。地の底で働き、生死をともにする共同生活のなかで、炭鉱労働者たちはたがいの絆を強めた。絵はがきに写された画像、そしてその収集熱と消費のありかたから、彼らの日常生活と心性に迫る。産業史とメディア史に橋を架ける、じつに意欲的な研究書。
目次
序(炭鉱写真絵葉書を探して;絵葉書・写真の大衆化・社会的階級)
第1章 絵葉書と先行写真メディア―産業・労働はどのように写し出されたのか(労働者の絵葉書;ヴィクトリア期の写真と労働者階級;写真の初期大量複製メディアと労働者階級)
第2章 炭鉱の配達―ダービシャーの石炭会社の広告絵葉書(クレイ・クロス社の広告絵葉書シリーズとその観客;大衆写真における坑内の眺め;規業価値を映す;別の視線)
第3章 コミュニティのイコン―ウィガンの女性炭鉱労働者の絵葉書(紳士の秘密の箱;女性炭鉱労働者と視覚表象;スタジオ写真絵葉書―カルトの名残り;仕事場の写真絵葉書)
第4章 記念された死―バーミンガム近郊の炭鉱事故の絵葉書(ハムステッド炭鉱事故の絵葉書;写真屋ゴサードと事件絵葉書;新聞・雑誌写真とフォトモンタージュ;記念された死)
第5章 炭鉱のスーヴェニア―南ウェールズの炭鉱の風景絵葉書(労働者の移動とスーヴェニア;風景における産業の居場所;トポグラフィー絵葉書;スーヴェブアとしての炭鉱絵葉書;補完の物語)